竹原に残るいちばん古い家は、いつのものだと思いますか?

この吉井家は、竹原で最も古い民家のひとつ。1691年に建てられました。

玄関の隣には、特別な「御成門」があります。広島藩の藩主が塩づくりの視察に訪れた際は、この門から入り、奥にある御成座敷で当主がもてなしたそうです。

そんな格式ある吉井家も、やはり塩で大成功を収めた豪商でした。吉井家は竹原でいちばんの豪商といわれ、塩づくりで財を築き、町のリーダー的存在となり、さらに酒づくりや廻船業、いわゆる海運業へと事業を広げていきます。

とくに、自前で大きな船を所有していたことは、竹原の商人の中でも群を抜く存在感を放っていました。これらの船や北前船によって、竹原の塩は遠く北海道まで運ばれ、魚や昆布を塩漬けにするために使われました。

塩漬けにした食材は、再び船に積まれ、大阪や江戸へと届けられます。ほかにも、千葉ではヤマサの醤油づくりに使われたという記録も残っています。

港町としての竹原は、江戸時代にさらなる整備が進み、発展します。塩を運び出した船は、帰りに米を積んで戻り、その米の豊富さが竹原で酒づくりが盛んになった理由のひとつとも言われています。

歴史を刻んだこの家の静かな佇まいに、日本の大航海時代の歴史がそっと息づいています。

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