表参道は、天高く鬱蒼と茂る神宮杉の木立の中をゆるやかに蛇行しながら社殿に向かうアプローチ。まるで森の中のよう。森の参道っていうと静かなのか、と思うでしょう?それが、ざわわわと風に木々が揺れる音や、幾種類もの野鳥の鳴き声が聞こえてきます。この小さな森に住んでいるんでしょうね。我がもの顔の鳥たちのおしゃべり、思わず足を止めて耳を澄ませたりして。そんな自然の音と、砂利を踏む自分の足音を聞きながら、お社に向かうんです。

内宮別宮「月讀宮(つきよみのみや)」。「げつどく」と書きます。漢字の印象でしょうか、外宮別宮の月を見るより、少しクールなイメージが。でも同じく、やっぱり「つきよみさん」って地元では呼ばれていますね。内宮さんから2kmくらい離れているので参拝者もほどよい、心癒やされるいいお宮です。与謝野晶子が詠んだこんな短歌があります。

夕月のひかりのごときめでたさよ 木立の中の月讀の宮 

別宮の中では一番位が高いお宮で、外宮の月夜見宮との大きな違いは、月讀尊(ツキヨミノミコト)をご祭神とする月讀宮(つきよみのみや)、そしてその荒御魂を祀る月讀荒御魂宮(つきよみあらみたまのみや)、そして親神である伊弉諾尊(イザナギノミコト)を祭神とする伊佐奈岐宮(いざなぎのみや)、伊弉冉尊(イザナミノミコト)を祭神とする伊佐奈弥宮(いざなみのみや)と、4つの社殿が並んでいるのが特徴。天照大御神と月讀尊は姉弟(あねおとうと)の神様といわれていますから、こちらにはその両親が共に並び祭られているということになります。

別宮としての歴史は古く、約1200年前にはこの地に。今でこそ東西に大きな道路が通り住宅もたくさんある地域ですが、昔、賑やかだった旧街道とも山を隔てていますし、明るい場所からちょっと一線を引いています。裏参道、国道側の駐車場からみると、大きな道路や家々の向こうにそびえている朝熊山、そのふもとに五十鈴川が流れています。おそらくここは、川沿いに広がる田園が見通せる、高台の静かな杜だったのでしょう。月夜には、山の上高く上がった月の光が里を照らし五十鈴川をきらめかせて。それは静かで美しい夜の世界が広がっていたはず。

天照大御神に対して静かなる夜の世界を守る神。月の満ち欠けを読み、暦を司る、知性的で魅力的な神様ですよね、月讀尊。

ON THE TRIP 編集部

企画:志賀章人
文章:森本かおり
写真:本間寛


※このガイドは、取材や資料に基づいて作っていますが、ぼくたち ON THE TRIP の解釈も含まれています。専門家により諸説が異なる場合がありますが、真実は自らの旅で発見してください。

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