みなさま、島めぐり観光バスの旅はいかがでしたでしょうか。これからバスは「土庄港」に帰ります。その前に、さらなる小豆島観光のためにオススメのスポットを紹介していきましょう。

【エンジェルロード】
まずは、エンジェルロードです。みなさんは「トンボロ現象」をご存知でしょうか。それは、普段は海で隔たれている島に向かって、潮が引いたときだけの道があらわれて陸地がつながる現象のことをいいます。小豆島では、干潮の前後3時間にあらわれる幻の道があります。それがエンジェルロードです。「大切な人と訪れて真ん中で手をつなぐと2人のあいだに天使が舞い降りて願いを叶えてくれる」といわれ、たくさんの人が訪れる人気スポットになっています。このバスは土庄港に帰る途中でエンジェルロードを経由しますので、途中下車したい方はガイドさんにお声がけください。

【土渕海峡】
次に土渕海峡です。小豆島は牛の形といわれるくらい複雑な形をしています。エンジェルロードもまた4つの島で構成されているのですが、小豆島自体もまたいくつかの島がつながりあって構成されているのです。たとえば、このバスは土庄港からスタートしましたが、はじめに小さい島から橋をこえて大きな島に渡りました。気づかなかったとしても無理はありません。土渕海峡の幅はいちばん狭いところで9.93m。世界一狭い海峡としてギネスブックに認定されているのです。このバスの長さより短いので、あっという間に通り過ぎてしまいましたが、そこに流れていたのは川の水ではなくて海水です。みなさんにはもう一度、チャンスがあります。これから土庄港に戻る際にもまた、その海を渡ることになるのですから。

【迷路のまち】
土渕海峡のすぐそばにあるのが「迷路のまち」です。目印となるのは西光寺の三重塔です。遠くからでもシンボルのようにそびえ立つその姿は人を惹きつけることでしょう。しかし、いざ三重塔に向かって歩きはじめると、なかなか辿り付けないかもしれません。というのも、古くからのその町並みは「迷路のまち」と言われ、海賊から島民を守るため、かつ海風から建物を守るため、意図的に迷路のようにつくられているからです。ひとたび足を踏み入れて迷いはじめると、点在する妖怪美術館に出くわすこともあるでしょう。迷路のまちは妖怪たちがいるところ。妖怪とはいったい何なのでしょう。ぜひ地図を持たずに散策してみてほしいと思います。

【宝生院のシンパク】
次は、宝生院のシンパクです。応神天皇の物語を覚えているでしょうか。実はこのバスは応神天皇が旅したルートと同じように西から東へと島を横断していきました。応神天皇が旅の途中で御手植えしたとされる木は、今や大きく成長しています。宝生院のシンパクと呼ばれるその大木は幹の周囲が約16.9m、樹高は約20.9m、樹齢約1600年以上といわれ、国指定特別天然記念物となっています。また、宝生院は小豆島八十八ヶ所巡りの54番でもあります。迷路のまちの中にある西光寺は58番なのですが、小豆島には1番から88番まで八十八ヶ所巡りのお遍路があります。もとは空海が山を歩いて修行した場所を、江戸時代の人たちがお遍路として完成させたといわれています。四国八十八ヶ所と同時期に開設された歴史あるお遍路で全工程は150km、徒歩で6日間、車でも3日間はかかるといわれます。とはいえ、四国の方は1,200km、50日間といわれますから、お手軽といえるかもしれません。

【農村歌舞伎と虫送り】
次は、農村歌舞伎と虫送りです。銚子渓おさるの国に向かう途中に八幡神社があります。その境内に農村歌舞伎の舞台があります。国の重要文化財であるその場所で、今も農村歌舞伎が行われています。建物の柱には、江戸時代に雨乞いの芝居をしたという落書きが刻まれていたりして、伝統の連なりを感じさせてくれます。また、同じ地域で「虫送り」という伝統行事も受け継がれています。その日、太陽から採った光で火を灯し、住職がお経を唱えて稲や野菜の虫除けと豊作を祈ります。その後、集まった人たちも松明に火をつけて、あぜ道を走りながら「虫くるな」と言いながら橋まで進み、松明を川に流します。これらの古い文化がなぜ、この地域に残っているのでしょうか。確かなことはわかりませんが、盆地でテレビの電波が入らなかったおかげで夜に芝居の稽古をする時間を持てたのだと話す人もいます。あながち、本当なのかもしれません。

【石の採掘場】
島を一周しようと計画している方にオススメなのは「天狗岩丁場」です。小豆島に醤油がもたらされるきっかけは大阪城の石垣をつくるための採石部隊でした。それが豊臣時代の大阪城か、徳川時代の大阪城かははっきりしませんが、小豆島の石は丈夫で加工もしやすいため、江戸城の改修にも使われるなど重宝されてきました。天狗岩丁場で採石について学んだあとは、島の北側をドライブしてみてください。小豆島には採石場が47箇所もあるといわれています。あまり多くの人が訪れない北側では石を採掘している様子を今も見ることができるでしょう。

【フェリーやタクシー】
最後にもうひとつ。小豆島出身の漫画家による「からかい上手の高木さん」は最近のヒット作で、アニメや映画にもなっています。その舞台にはエンジェルロードをはじめ、土渕海峡、迷路のまちなど、小豆島で見られる風景がていねいに描かれています。みなさんも、この旅を終えたあとに高木さんを観ると、この旅で見たことがある風景に懐かしさが募ることでしょう。そして、あらためて聖地巡礼の旅に来てもらえたらと思います。土庄港には高木さんの情報発信拠点としての「とのしょうBASE」があるほか、島のために特別に描き下ろされたコラボフェリーや、ラッピングタクシーも走っています。また、ポケモンとのコラボもあり、香川県のうどんヤドンで語呂がいいということで、ヤドンパークやコラボマンホール、ヤドンフェリーも走っています。

いかがでしたでしょうか。小豆島の旅は、このバスを降りたときにこそはじまるのかもしれません。それでは、みなさま、この先もお気をつけて旅をお楽しみください。平和と幸福の島、オリーブの島でまたのご乗車をお待ちしています。

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