セリが終わると、その魚はどうなるのでしょうか。最後に、仲卸の店をのぞいてみましょう。
仲卸がいるエリアは、表通りと裏通りが交互に並んでいて、表通りが店の表側です。それらの店に魚を買いに来るのはお魚屋さんなどの馴染みのお客さんばかりで、一般の人はいません。お客さんの細かい要望に応じて目利きをした魚を提示して、プロ同士の「あうん」の価格交渉が行われます。
そうして、表で交渉成立した商品を、裏からターレや猫車などの乗り物を使ってお客さんの車まで運びます。しかし、最近では市場に買い出しに来る店主も少なくなり、電話やメールで必要な魚を注文して、店まで届けてもらうお客さんも増えています。
ここでは、運が良ければ、マグロの解体を見られるかもしれません。まるまる一本買い取った魚を切り分けるのは仲卸の仕事です。マグロの解体に使う包丁はサムライの日本刀のように長いのですが、どうしてこんなに長いのでしょうか。それは、マグロの体に沿わせて、刃をしならせながら切るためです。真剣な顔をした職人は刃を当てる場所を探りながら一息に切ります。その解体の様子はまさにプロフェッショナル。月に一度、市場開放日に行われている「マグロ解体ショウ」はいつも人気を博しています。