水若酢神社は隠岐の一宮であり、隠岐の中で最も格の高い神社として信仰されています。隠岐の総社である玉若酢命神社にも、この水若酢神社にも、どちらも「酢」がついていることから、兄弟の神様といわれたこともありましたが、もともとの土地の神様である水若酢命が隠岐を治めていたところに、あとから玉若酢命がやってきて隠岐を二分したのではないかと考えられています。

【隠岐古典相撲】
参道を進んでいくと左側に土俵があります。その土俵の上には柱が設置されています。この柱は、隠岐古典相撲と呼ばれる隠岐独特の相撲大会において、力士が名誉の品として受け取る柱です。隠岐古典相撲は20年ごとに行われる水若酢神社の遷宮や記念事業の際に奉納相撲として開催されますが、土俵の柱を懸けて相撲を取ることから「柱相撲」とも呼ばれています。また、取り組みにおいて同じ力士同士が二番相撲を取り、最初の取り組みで勝った力士が二番目の取り組みでは「勝ち」を相手に譲り、一勝一敗で取り組みを終えることから「人情相撲」とも呼ばれています。

【一勝一敗とする理由】
なぜ、一勝一敗とするのでしょうか。隠岐古典相撲において大関・関脇・小結の三役は個人ではなく、それぞれの地域に割り当てられます。その後、地域への貢献度合いなどによって個人が選出されるのですが、各地域では大会の1か月前から毎晩総出で練習が行われます。そうして、個人ではなく地域の代表として柱に宿った神様を懸けて相撲を行うため、勝ち負けを決めると地域の争いになることから、小さな島の中で仲良く共存して暮らしていこうと一勝一敗にするという隠岐独特の相撲の仕来りとなったのです。

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