由良比女神社は平安時代の古い資料でもその名が記されている格の高い神社で「島前一宮」としても知られています。その資料に記されている神社の中でも霊験あらたかな神社には「名神大社」という大社の位が与えられます。隠岐の中でも、隠岐の島町の水若酢神社、伊勢命神社、西ノ島町の由良比女神社、海士町の宇受賀命神社の4社が名神大社の位を持っています。
また、由良比女神社の前の浜は、毎年10月から2月にかけて体長1mにもなるソデイカやスルメイカが海岸に押し寄せてくることから「イカ寄せ」の浜とも呼ばれています。その昔、この神社に祀られている須勢理姫命(すせりびめみこと)が桶に乗って海水を手でかき分けながらこの地に向かっていたところ、イカが戯れてその手を引っ張ったりしました。その無礼を詫びるために毎年、イカの大群が押し寄せるようになったと言われています。
湾の地形が対馬海流に乗って移動するイカを待ち構えるような南西向きであることからイカが打ち寄せられてくるのですが、そのように大量のイカが寄ってくるのは神様がおられるということで、この場所に神社が建てられたのだと考えられます。
さっそく、神社を参拝してみましょう。この神社は別名イカ神社とも呼ばれ、いたるところにイカの彫刻が施されています。ぜひ探してみてください。
※このガイドは、取材や資料に基づいて作っていますが、ぼくたち ON THE TRIP の解釈も含まれています。専門家により諸説が異なる場合がありますが、真実は自らの旅で発見してください。
ON THE TRIP 編集部
写真:本間寛
声:奈良音花