「ととのい」にアロマのスパイスを

土の中に埋もれるように建てられた、六角形の特徴的な建物。ここは、全国のサウナーたちが熱い視線を向けるサウナホテルThe Hiveです。

Hiveとは「蜂の巣」を意味します。ただ単に、かたちが似ているからではありません。ミツバチが蜂蜜を作るように、仲間が集い、アロマオイルの香りとサウナでととのいながら、新たなアイデアを生み出す場になったら……そんな思いが込められています。

北欧やドイツでは、サウナは医療行為の一つになっています。日本でも、「ととのい」の効果を身をもって実感している人は多いでしょう。そんなサウナがヘルジアン・ウッドにできたのは、必然だったと言えそうです。

アロマウォーターをサウナストーンにかければ、サウナ中に心地よい香りがたちこめます。十分に体が温まったら、透き通った立山の地下水を使った水風呂に体を沈めましょう。そして水風呂を出てデッキチェアに腰掛けたら、目に映るのは六角形に切り取られた植物、土、空、立山。屋根の上にのぼることもできるので、真夜中に星空を眺めてもいいでしょう。自然の中で五感を研ぎ澄ませれば、これまでにないほどのアイデアが湧き出してくるかもしれません。

The Hiveの魅力はサウナだけではありません。泊まるなら必ず味わってほしいのが、「サ飯」のインドカレー。なぜカレーかといえば、The Hiveのマネージャーがインド出身だから。アチャリヤ・コーシクさん、通称アチャさんは、30年近く日本で暮らしています。日本の中でも富山の自然の美しさ、山にも海にも近い地形には特に魅せられたそうです。

「アチャカレーの一番のこだわりは、本場インドのカレーを出すこと。本当に本場のカレーは、日本ではなかなか食べられない」とアチャさん。インドにはたくさんの州があって、地域ごとにカレーの特徴が異なります。州の中でもさまざまなバリエーションがあるうえ、手間をかけない家庭の素朴なカレーと、じっくり仕込んだレストランのカレーでもまったく違います。とにかく多彩なのです。それらのカレーを、アチャさんが自らスパイスをブレンドして振る舞ってくれます。

「インドの人はカレーを365日食べる。そう聞くと疑う人がいる。でも、私のカレーを食べたら『これなら365日食べられる』って言いますよ」。そう言ってアチャさんは豪快に笑っていました。

ON THE TRIP編集部
企画:志賀章人
文章:小沼理
写真:本間寛
 声:奈良音花

※このガイドは、取材や資料に基づいて作っていますが、ぼくたち ON THE TRIP の解釈も含まれています。専門家により諸説が異なる場合がありますが、真実は自らの旅で発見してください。

Next Contents

Select language