大洲の町を見守る神社、その本堂へと続く石段の入り口に、とても立派な常夜灯があります。実はこれ、煙突を再利用したものなのです。
大洲を支えた産業のひとつ、製糸業の過程で、生糸を採る際に大量に蛹(さなぎ)が残ります。「そのまま捨ててしまうのは勿体無い」ということで、思いついたのが蛹から油を採ることでした。その工場に立っていたのが、この煙突。採れた油は石鹸などに利用されたそうです。
製糸業の衰退とともにその工場も役目を終え、ついに煙突も取り壊しか……という段になって「高価なレンガ造りの煙突を壊すのは勿体無い」と、工場の人が動きます。レンガの上にハイカラなモルタルを塗り込め、水銀燈として生まれ変わらせました。ちょうど昭和天皇が即位する年だったことから「昭和燈」と名付けられ、今もこの町の夜を照らしてます。


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