標高135メートルの松本峠には茶屋や寺子屋が建っていました。ずいぶんにぎわっていたことでしょう。

茶屋はかなり大きなもので敷地も広いです。茶屋には水やお茶、おにぎり、餅、わらじなど旅に必要なものをそろえており、現在のコンビニのような存在で、旅人は茶屋を見るとホッとしたと同時に休憩を取りながらお腹も満たして疲れた体を休めたことでしょう。
峠には400年ほど前の江戸時代の初めころに建てられた身長170センチほどの地蔵さんが旅人を見守ってくれています。

ところで、この地蔵さんには穴が空いています。なぜでしょうか? これは鉄砲の穴ともいわれ、こんな言い伝えがあります。

むかしむかし、大馬新左衛門という鉄砲の名人が松本峠を越えて隣町に行った、その帰り道のこと。空はもう暗くなり、夜になっていました。新左衛門がこの場所を通りかかったとき、行きにはなかったはずの大きな影があらわれました。「妖怪だ!」新左衛門はその影を狙って鉄砲を打ちました。しかし、その影はビクともしない。おそるおそる近づいてみると、実はその影は、新左衛門が隣町に行っている間に村人たちによって運ばれて、この地に建てられた地蔵さんだったのです。

新左衛門はそのあと、どうしたのでしょうね。想像してみてください。


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