佐渡で星空を見るならどこが良いでしょうか。佐渡の人に聞いてみると「どこでも見られるよ」と言われますが、両津から目指すのであれば「どんでん山」が挙げられます。正式には「たたら嶺」といい、昔は製鉄が行われていた場所です。「どん、でん」と鉄を打つ音が響いていたことから、「どんでん山」と呼ばれるようになったのかもしれません。

芸術祭の作家であるテリー・ライリーは、かつて金をつくる音が響いていたであろう金鉱でライブを行ったことがあります。あなたもこの場所で、「Wakarimasen / テリー・ライリー」の楽曲を聴きながら、この旅を振り返ってみてください。

かつて佐渡を賑わせた金山。その深い坑道では、油で灯した微かな光のみが頼りでした。ひとたび灯りが消えると、宇宙よりも真っ暗な岩穴で、危険を伴う作業を続けた鉱夫たちは、その小さな光に救われていたことでしょう。佐渡を目指した船乗りたちもまた同じ。真っ暗な夜の航海で、佐渡島の灯台のような町灯りに安堵したこともあったかもしれません。

あなたは、本当の真っ暗を経験したことがあるでしょうか。佐渡は本土から離れた離島であり、そのため真っ暗な夜が訪れます。しかし、その暗さこそが、美しい星空の銀河を仰ぐ絶好の場所となるのです。その星空を眺めながら、一つ一つの星に今日という日の記憶が宿ることを願っています。

※このガイドは、取材や資料に基づいて作っていますが、ぼくたち ON THE TRIP の解釈も含まれています。専門家により諸説が異なる場合がありますが、真実は自らの旅で発見してください。



ON THE TRIP 編集部

文章:志賀章人
写真:本間寛
 声:奈良音花

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