DOMMUNE Presents「LANDSCAPE MUZAK」PROJECT SADO♯3

能を大成させた世阿弥は、やがて将軍の怒りにふれ、佐渡へと流されました。佐渡に着いた世阿弥は、いくつかのお寺で暮らしていたことがわかっていますが、その後の消息は不明です。一説には佐渡を出て、娘夫婦のもとに身を寄せたとも伝えられています。

能が盛んなことで知られる佐渡ですが、世阿弥が直接教えたのかといえば定かではなく、金山奉行所に派遣された人物が広めたとも言われています。いずれにせよ、能はやがて集落ごとに舞い、謡い、観る“民衆能”として独自に発展し、江戸から明治にかけて島内には300を超える能舞台が建てられました。

そうした文化を背景に行われるのが、DOMMUNEによるプロジェクト「LANDSCAPE MUZAK」です。アーティスト・灰野敬二を迎え、「虚能」という全く新しい能の表現に挑みました。

能舞台そのものを音響装置として捉え、床下に甕を据えて響きを増幅させる工夫など、古くからの技術を調査・解析。江戸期に建てられながら今は使われていない能舞台をリノベーションして、新たな能舞台をつくり出しました。その舞台で灰野が上演したのが「虚能」。今回はその記録映像を作品として展示します。

虚無、そして虚空──ゼロから立ち上がる新たな表現。佐渡に息づく能の歴史と現代の実験が交差する場で、あなたはどんな響きを感じ取るでしょうか。

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