自己紹介をお願いします。
船川翔司です。美術作家をしています。光とか音を使って作品を作ることが多いんですけど、メインのテーマに気象、天気を扱うことがあって、環境に合わせた経験だったりを作品に生かした制作をしています。
鑑賞者にどこを特に見てほしいですか。
このBnA Alter Museumは、階段を上がったり、デッキを立ち止まって、ショーウィンドウのようなガラスを介して作品を見るっていう鑑賞者のあり方があると思うんですが、その鑑賞者の動きの流れ、歩いたりする流れを、ある種の一つの時間の流れ、プレイタイムのようなものとして捉えて。で、その時間の流れに、僕が制作の中で背景としているものを当てて。で、その中には、例えば垂直なものとか、何か上がったり降りたりするものに一瞬手をかける、みたいなあり方があるんですが、そういった時間の流れの中の固有の経験を、鑑賞者の人も体験するっていうことに特徴があるかなと思います。
本作品の制作に至った理由、経緯を教えてください。
今回の作品は、僕の制作が気象をテーマにして、環境を取り込むっていうことがもともとあるんですけど、BnAの建築の特徴自体が環境の特性になっていると思っていて。で、そこを鑑賞者が通り過ぎたり、ガラス窓を眺めたりすることの中で、作品がある場所を内と外とかを分けずに、通り過ぎていく時間の中で経験することを鑑賞の主な経験にできたらなというふうに思ったというところがあります。
作品を通じて伝えたいことはありますか。
鑑賞者の方が作品に意味や価値を感じる以前に、作品を鑑賞していく時間の流れの中で感触を覚えること、感覚することが重要だなと思っていて。で、僕の制作の時間の中で作品になったりならなかったりするっていう言い方をすると正しいのかもしれないんですけど。作品を鑑賞する時間の流れの中で個別の経験を得ることがそれに近いようなものでもあると思っていて、それを感じてもらえたらなと思っています。
制作の上でのこだわり、工夫点を教えてください。
制作の中で台本のようなものを作っていて、それは物語のようにも読めるし、設計図のようにも読めるんですけど、今回は何か模型のようなものを作っている... ようなところがあって。で、かつその模型をまあ眺めるだけじゃなくて、中に入ってみるっていうことだったり、触ってみたり、聞いたりするっていうような、いろんなその感覚することのアプローチがあると思うんで、それを作っていくことが、こだわりかなと思います。
本作品における時間や流れについて教えてください。
今回の作品制作で言及している時間とか流れについて言うと、時間というものが何か大きなものと接続したりすることが面白いことだなと思っていて。 特に時間が用意しているものの中で風化っていう現象が特徴あって面白いなと思うんですけど。 何かその風化っていうことに個別具体的なものを、それをそうじゃなくさせるっていう作用みたいなものがあると思うんですね。 で、僕はその時間の流れの中で何か具体的な経験をするっていうことがあるのに、逆説的にその時間の流れみたいなものは、それを個別具体的なものじゃなくさせるっていうことがあるなと思っていて。で、かえってそれはどんどん時間が流れて別のものに接続していくことによって、これだっていうふうに言えているような経験が、別のものになり変わっていくっていうところがあるなと思って。それは空間とかを主体に考えたときには起きないことのように思っていて。 その中でその時間とか流れっていうのが、今回特徴あるものとして言及しているんだなと思ってます。
[Staircase, Gallery 2, Gallery 4]
“LuLu”
mixed media, 2025