道後公園は「言の葉の森」でもあります。
ここにあるのは芭蕉の句碑。そのほかにも正岡子規をはじめ、たくさんの詩人の言葉が、石に刻まれて点在しています。
松山を故郷とする正岡子規は、道後公園をこのように詠んでいます。
「見渡せばはるかの沖のもろ舟の帆にふく風ぞ涼しかりける」
その言葉が描く風景や心情を思い描いてみてください。
さらに、正岡子規に影響を受けたとされる土屋文明はこんな歌を残しています。
「伊予の温泉の夜は静まりいさ庭のゆづきの丘にふくろふの鳴く」
使われている言葉は少ないのに、空気の冷たさや、月の光の色、森の奥行きまで、まるで小さな窓の向こうに広がる景色のように立ち上がってきます。
ここで、一句、いかがでしょうか。
「湯上がり」「森」「風」「音」「光」——
今日、この丘で印象に残った言葉を、そっと並べてみてください。
声に出さなくてもかまいません。
その小さな一句は、この道後公園で過ごした時間をやさしく思い出させてくれる「しおり」になるはずです。
※このガイドは、取材や資料に基づいて作成していますが、ON THE TRIP の解釈も含まれています。諸説ある部分もありますが、真実は、あなた自身の体験の中で見つけてください。