ここで少し、庭へ出てみませんか。
ただ歩くだけでは、少しもったいないかもしれません。
立ち止まる。しゃがんでみる。葉に触れてみる。香りをかいでみる。そして、ゆっくりと息を吸ってみる。
森林浴という言葉がありますが、この場所では、庭を浴びるように過ごしてみましょう。
あなたが飲んでいる新鮮なハーブたちも、この庭で育ったものです。
もし見つけたら、葉を指でそっとちぎってみてください。あのお茶と同じ、爽やかな香りが立ちのぼります。
飲んでいたものが、どんな植物なのか。それを知るだけで、一杯のお茶も、少し違って感じられるはずです。
そして、この庭を見渡すと、モンステラをはじめ、亜熱帯の植物があちこちに茂っています。
その理由は、島を囲む黒潮にあります。南から流れてくる暖かな海流が、一年を通して島の気候を穏やかに保ちます。冬でも霜がほとんど降りず、熱帯や亜熱帯の植物が育つ。八丈島が「常春の島」と呼ばれてきた理由も、そこにあります。
でも、この庭を育てているのは、気候だけではありません。足元に広がるのは、火山が生んだ溶岩の大地。水はけがよく、決して豊かな土ではありません。それでも植物たちは、岩の隙間へ根を張り、水と光を探しながら、自らの力で生きています。モンステラが太い根を伸ばす姿や、木に絡みながら空へ向かうツルにも、その生命力を見ることができます。
この庭は、季節によって表情を変えます。春には島桜、夏にはデイゴ、秋には、かぶつや金柑、冬にはアロエの花。訪れるたびに、違う色が庭を彩ります。バナナやモンステラの実を探してみるのも、この庭ならではの楽しみです。
あなたが飲んでいるハーブティーも、この庭の緑も、この島の気候が育てたもの。
庭を歩きながら、ときどき立ち止まってみてください。
きっと、この島の空気も、香りも、いつもより少しだけ深く味わえるはずです。