Q.5 なぜ新刊ではなく古本なのか?

誰かが面白いなと思って買った本が、他の誰かによって蘇る。その面白さに魅かれ、古本屋を始めたのが久保寺さんだ。「本に関する何でも屋をやりたい」と、木之本を1つの空間ととらえ、古本屋以外にも、駅の待合文庫やブックカフェ、そしてこの古本屋を手がけている。

なぜ今、古本なのだろうか。久保寺さんは古本のよさについてこう語ってくれた。「新しい本はきれいでいいけど、古本は誰かの手にふれることで、熱をおびて、生命が宿るんです。少しでも本が生き返ればいいなあと思って古本屋を始めました。だから古本を買うときは、『出会えてよかった』という気持ちでいてほしいなと思います」。

店内に置いてある本は、もともと木之本や他の町の人がずっと持っていたもの。だからこそ普段はなかなか出会えない、ここならではの本との出会いがある。中にはあなたの手によって、「生命が宿る」本もあるかもしれない。そんな宝探しのような楽しみ方も試してほしい。

Q.6 なぜ木之本には本にまつわる施設が多いのか?

木之本を歩いてみて、本に関するお店をよく目にしなかっただろうか?木之本には戦前から数世代にわたって続く書店や江北図書館、交遊館文庫、あいたくて書房と、小さい町ながら、本にまつわる施設がたくさんある。本はこの町の人たちの暮らしと深く関わっているのだ。

「木之本は人口密度は低いけど、『本密度』は高いんですよ」、と語る久保寺さん。久保寺さんの定義によると、本密度とは、「1人あたりが本に接する機会」とのこと。自分が行ける範囲に本にまつわる何かがあり、本を目にしたり、手にしたりする機会が多いという。

かつて宿場町として栄えていたころ、多くのお店を取り仕切っていたのは女性だった。その当時、女性は家庭を守る立場であり、商売のため常に家にいなくてはならなかった。旅行など夢のまた夢、家で遊ぶ楽しみもない時代。当時を知る町のおばあちゃんは、図書館で本を借りて読むことで、旅行に行ったり恋をしたり、いろんな気分になったそうだ。家で本を読んでいても怒られるため、夜隠れて本を読んでいた人もいるそうだ。本は木之本に暮らす人たちにとっての「心の拠り所」として、多くの人を支え続けてきたのだ。だからこそ、この町の「本密度」は高いのだろう。

あいたくて書房
滋賀県長浜市木之本町木之本909
営業日;木曜日~日曜日のみ営業
営業時間:10:00-17:00
Tel:090-6900-4512

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