Q.13 なぜ旅人は桑酒を飲んで元気になったのか?

かつて木之本の北国街道沿いには、桑畑が広がっていた。ここ湖北の地では、伝統的に蚕による糸取りが盛んに行われてきた。桑の葉は蚕のえさ。そして、桑畑の風土をいかしてつくるお酒が、桑酒だ。日本酒は全国にあるが、桑酒は日本でここ、山路酒造でしかつくっていないという。

実は桑酒の作り方は、純米本みりんと同じだ。焼酎に蒸したもち米と麹を漬け込み、麹の働きで溶かし、自然と溶け出てできる甘いお酒。そこに独自のブレンドで漬け込んだ桑の葉のエキスを加えたものが桑酒だ。砂糖を一切使っていないにもかかわらずとても甘いため、砂糖の代わりに使う人もいるほどだ。

桑酒にはこんな逸話がある。かつて木之本を訪れた旅人が宿で疲れ果て、旅が続けられなくなった。その時、宿主からすすめられて飲んだのが桑酒だったそうだ。旅人は桑酒を飲み、木之本地蔵にお参りにいったところ、旅が続けられるようになったという。

「自然のブドウ糖なんで、疲れたときに飲むと体が元気になるという作用は昔からあったみたいですね」、と女将の山路祐子さん。他にも、桑の葉には血圧を安定させる働きがあるなど、健康にいいそうだ。一面に広がる桑畑を思い浮かべながら、桑酒を飲んで旅の疲れを癒してみてはどうだろうか。

山路酒造
滋賀県長浜市木之本町木之本990
Tel: 0749-82-3037

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