Q.18 なぜ今、木之本を訪れるべきなのか?

木之本は今、街自体が発酵しているのだと思う。古い街並みや暮らしが残っていて、あいたくて書房久保寺さんの言葉を借りれば、「昭和が冷凍保存された街」かもしれない。しかし、県外から人が移り住み、地元の新しい世代が地域を盛り上げ、歴史を積み上げ、そして今新しい木之本が生まれようとしている。さらに旅人が訪れ、木之本の人々と交流することでそのスピードは増していく。

この過程は発酵のそれと重なるのではないだろうか。発酵とは酵母や菌などの微生物が、エネルギーを求めて物質を分解し、旨味など人間にとって有益なものを生み出す過程のこと。旅人菌が木之本(物質)を訪れることで、あなたは新しい気づきを得ていく(有益なもの)。だが、これは逆もしかり。つまり、木之本菌が、旅人と交わることで、新しい地域の価値が発見され、地域がより面白くなっていく。

木之本は古くから発酵の街として、醤油やお酒がつくられてきた。北国街道の宿場町として人々が行き交い、情報が集まり、かつては無料の図書館や薬剤師免許第一号のお店がつくられるなど時代の最先端をいっていた。そんな歴史ある街が、新しく生まれ変わろうとしている今、木之本には旅人が必要だし、旅人には木之本が必要なのだ。そうして、あなたも木之本も発酵していく。このガイドがそのための一助となれば、幸いだ。

取材・文章:中楯知宏
取材協力:植田淳平(MediArt)
写真提供:木之本カメラ女子、bluestailor
機材協力:オリンパス株式会社

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