この井戸には驚くべき知恵がある。

城壁に使われている石は石灰岩であるが、そのすべてがこの近くで採れた石。つまり、山全体が石灰岩なのだ。

雨が降ると城壁をふくめた山の石灰岩が水を吸いこみ、上から下へじわりじわりと浸み込んでいく。その途中で穴を空けるとどうなるか。ぽたん、ぽたんと水が落ちてくる。早い話が「鍾乳洞」である。

では、落ちてくる水を貯めるにはどうするか。ウフガーの底は「クチャ」と呼ばれる泥岩層になっている。クチャは石灰岩とは反対に硬くて水を通さない。その性質を利用して水を貯めているのだ。

この話は、沖縄の井戸水のメカニズムでもある。極端にいえば島全体が石灰岩であるため、空から降った雨は地面に浸み込んでいく。しかし、島の地下全体にクチャが広がっているため、浸透した雨水はそこでせきとめられる。こうして地下水がプールされているのだ。つまり、どこを掘ってもクチャにぶつかるまで掘れば水がでる。だから、たとえ山の上でも井戸があるし、泥岩層にそって集落ができるわけだ。

ちなみに、ウフガーには横穴が空いており、水が溜まりすぎたときには横穴から逃がして、下まで流れ落ちるようになっている。崖下に住んでいる農民にも水がいきわたるように考えられているのだ。

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