川に寄り添う風景とはまさにこのこと。人だけでなく町や建物がそれをあらわしていると思わないだろうか。
この町は「池川」と呼ばれているが、市町村合併で仁淀川町になる前は「池川町」というひとつの町だった。それも、かなり栄えていたらしい。
現在の「439交流館(地元の人による地元の物しか置かないお店)」から橋を渡って、右手の通りは池川銀座。奥で二手にわかれているのが上町と下町。それぞれ大変な賑わいだったそう。
たとえば、「民宿いち川」はかつて「戎(えびす)楼」という料亭であり、芸者もたくさん抱えていた。近くには今はなき橋の跡が残されているのだが、その橋を渡った先には病院があり、週に一度、芸者たちが橋を渡って検査を受けにいった。そのとき、橋の上にズラリと並ぶ芸者たちをひと目見ようと、当時の男たちは見物に訪れたものだという。
ほかにも「下町集会所」があるところには映画館まであった。地域で出資した人は優待券を持っていたため、1日に何回も観にいったとか。
今は静かな池川もそうした名残を見つけられると町歩きが楽しくなる。ぜひ車を停めて散策してみてほしい。