地元の人たちがそわそわする時期がある。それは、わずか1か月半しか開かない大関が営業する、10月中旬から11月下旬にかけて。わかりやすく言えば、安居渓谷が紅葉で賑わう時期。
看板メニューは仁淀川で育った「ツガニ汁」。蟹の出汁スープの中に、殻ごとミキサーにかけたツガニが入っている。ツガニはこの時期にしか獲れないから、期間限定の営業というわけだ。
もうひとつの看板メニューは「アメゴの握り」。あなたは川魚の寿司を食べたことがあるだろうか。刺身にしても臭みがないのは仁淀川の水を含めた環境に徹底的にこだわって育てられたアメゴだから。
ちなみに、このお店は地元の人たちの手づくり。「ここは几帳面なAさんが作った部分だから綺麗にそろってるけど、ここは大雑把なOさんが作った部分だから板がちょっと斜めになってて…」と笑う女将さん。そんな感じだから毎年のように壊れるところも出てくる。その度に閉店を考えるものの、地元の人たちがまた頼みもしないのに木材を持ってくるという。きっと、地元の人たちも毎年の大関が楽しみで、ツガニ汁やアメゴの握りが食べたくて仕方がないのだ。
ちなみに、池川の町の中に居酒屋の「大関」がある。安居渓谷のお店がやっていない時期でも、そこに行けば大将の料理が味わえる。