目の前にあるものが、人によって違うものに見える。「見立て」という言葉をご存知ですか?たとえば石と岩でできた枯山水を見るときに、ただの石でも、見る人の解釈で「仏」や「仙人の住む島」のように、様々な見方をすること。ここ東福寺には、禅の思想に基づいて石や砂だけをつかって宇宙を表現した有名な枯山水があります。それは作庭家・重森三玲が永遠のモダンを追求した「枯山水庭園」です。

たとえば、東庭にある円柱の石は北斗七星の形に並べられており、奥に見える2列の生垣は天の川に見立てられている、と言われています。また八相の庭では、お釈迦さまの一生涯をあらわしているとも。重森三玲はこれらの庭の見立てや解釈について詳細には言葉を残していません。それは、それぞれの庭の見立ては見る者の想像力に委ねる、という配慮があったから。

また、枯山水庭園は“一切の無駄をしてはならない”という禅の教えに沿って設計されており、東西南北の庭にはユニークなアイデアが散りばめられています。たとえば、東庭の円柱は境内にある東司(=トイレ)を解体した際に出た廃材を使っています。また、北庭で116枚ある板石はすべて方丈内で敷石として使用されていたものなのです。

一目見ただけでは分からない禅の教えや、様々な思想が隠されている枯山水庭園の東西南北の庭。あなたにはどのように見えるのか。ぜひ、この禅を考える旅を東福寺でしてみてはいかがでしょうか。

※東福寺では、オーディオガイドをON THE TRIPで用意しているので、ぜひON THE TRIPの東福寺ガイドを使いながら境内をめぐってください。

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