「外の景色、体の景色、心の景色、それら全てが調和した景色。4つの景色を眺めることが坐禅の特徴になります」。坐禅について、このように語るのは建仁寺の塔頭「両足院」の副住職・伊藤東凌さん。今までにない座禅体験をしたいなら両足院に行くことを強くオススメしたいと思います。ここでは説明と体験が交互に行われる、インタラクティブな禅体験ができるから。

「坐禅はステップごとにやっていくことが効果的。一気に説明をして20分ほどの坐禅をやってもらうだけでは、『自分の姿勢は正しいのかどうか?』など疑問を感じた状態のまま坐禅体験が終わってしまう。それでは坐禅の効果を感じることができません」と伊藤副住職は言います。

前半の坐禅体験ではいくつかテーマを設けて、そのテーマの説明をした後、3分ほど坐禅をします。また次の異なるテーマの説明が行われる、といったような形で坐禅体験が進んでいきます。例えば、最初は“周囲への意識を高める”ことがテーマとなり、次は“自分のコンディションを見る”ことがテーマとなり、最後は“周囲と自分の壁をなくしていく”ことがテーマに。後半の坐禅体験では少し長めに坐禅の時間があり、希望者は警策をいただくこともできます。

「坐禅に対して”無になる”という言葉が浮かんでくる人が多いと思います。この言葉の影響で、頭の中を空っぽにしようと努力したり、気持ちが動かないように工夫したりしてしまいがちですが、本来そのような”ねらい”や”計らいごと”を持たないで、ほどきながら坐ることが坐禅です。だからこそ、私は坐禅において“眺める”ことが大事だと思っています」

さらに伊藤副住職は「“眺める”という言葉のニュアンスには“重なり合う”という意味が含まれている」と言います。外に意識を向けた後に自分に意識を向けることで外と自分が少しずつ重なり合い、境界線がなくなっていくそう。

「眺めることで全体の調和を知ることができる。例えば、外は穏やかなのに、自分だけ急いでいることに気づきます。その逆も然り。それを知ると、1日のコンディション調整がしやすくなる。また当たり前だと思っていることに対しても、ディティールを“眺める”ことでフレッシュな驚きがあります。」

両足院でしかできない、“眺める”坐禅体験を、ぜひ味わってみてはいかがでしょうか?ここでは1カ月に10回程度、坐禅体験を開催しています。予約制で定員は50名ほど。料金は90分で2000円です。坐禅体験の開催日はホームページのカレンダーから確認でき、ホームページ上で申し込むことができます。

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