カメラを構えてからの行動は速い。そのかわり、たくさん動いていろんな角度から対象をとらえようとする。ぼくは本間さんにそんな印象を持っていた。
しかし、ぼくが何気なく「あれが宮古にとっての久高島、アガリの方角にある大神島ですよ」と言うと、ひとつの場所に立ち止まり、長くカメラを構えていた。なぜかと聞けば、どこに焦点を合わせるべきか試していたからだという。
ふと、別のシーンを思い出す。人物写真を本間さんに見てもらったとき、本間さんはこんなことを言っていた。
「ピントは合ってるけど、気持ちが来てないね」
なるほど、雰囲気がいい写真はたくさんあるが、ぐっと心に迫る人物写真はプロにしか撮れない。風景にしても同じ。気持ちが来ているか、あるいは、撮る側の気持ちが投影できているか。どこに焦点をあわせるかというのは、そのカギになることだろう。