部屋の扉をひらくと、暗闇の向こうから点滅する白い光があなたを襲う。足元に気をつけてそろり、そろりと進んでほしい。部屋の明かりが灯ったなら、部屋の奥に進もう。部屋の奥にはソファがある。そのソファを手前に引くと、また灯りが消える。

この部屋は耳そのものを表している。ドアは耳介、通路角は鼓膜…と、耳の機能構造をベースに部屋が作られた。この耳の中に入ったあなたという存在は、「音の粒子」なのだ。部屋の奥、つまり耳の奥に向かうほど強烈な体験があなたを待ち受けている。

この部屋を手がけたアーティストEYE(アイ)は、日本の伝説的なオルタナティブ・ロック・バンド「BOREDOMS」の中心人物である。彼のイマジネーションと、彼の元に集まった素晴らしいエンジニア達による特殊装置、インテリアデザイナーやアートディレクターの実験精神とあらゆるサポートによって、世界中どこにもない唯一無二の体験空間が完成した。特に部屋の奥に使われた蓄光塗料は、100分の3ミリの粉を特注で作り、EYE自身が「聖なる塗料」として祈りを込めて作品に使用したものだ。

もはやこの体験に言葉はいらない。すべての感覚をつかって、体験して欲しい。まずはそこからだ。

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