湯本温泉は、奈良時代にお坊さんが発見したと伝えられている。その源泉が、湯場に祀られる熊野神社下にあり、ここに箱根で最初の共同浴場「総湯(そうゆ)」が置かれたと言われている。まさに温泉地箱根の始まりの地なのだ。
この熊野神社、実は湯本だけでなく箱根七湯の各温泉場でもそれぞれ祀られていた。江戸時代に箱根七湯を紹介する案内書として作られた「七湯の枝折」によれば、熊野を音読みすると「ゆや」になり、湯屋に通じることから、熊野神社は箱根各地の温泉を守る存在として祀られたのだろうと記されている。湯本では、今もなお熊野神社は温泉の神様として慕われている。
箱根最古の源泉からは今もこんこんと湯が沸きだして、周辺の宿に提供されている。