足柄山の山中に棲む怪力の少年、金太郎の名は「酒田(坂田)公時(金時)」の幼名とされる。室町時代の物語集『御伽草子』のなかで、大江山の酒呑童子退治で活躍した源頼光の四天王のひとりとして登場する「公時」が、足柄山の怪童、金太郎と結び付けられて語られるようになるのは江戸時代になってからのこととされる。

この言い伝えでは、足柄山を遊び場に育った金太郎が京都に向かう途中だった武将の源頼光と出会い、人並外れた力の強さを見込まれて、家来になった。その後、酒田公時という名をもらい、頼光の四天王のひとりとして、京都大江山に住む鬼「酒呑童子」退治をはじめとして大いに活躍したとされる。

現在の場所に、酒田公時を祭神として公時神社が祀られるようになったのは戦後のことで、それ以前から「公時」を祀っていた祠は本堂の奥にある。5月5日には公時まつりが開催されている。クマと相撲を取ったという金太郎の逸話があることから、当日はお囃子や湯立獅子舞と合わせて、こども相撲も行われている。

乙女峠から金時神社を目指すハイキングは、豊かな自然、富士山を含めた箱根の景色、金太郎の伝説を楽しむ旅。一粒で三度おいしい登山道は、なかなかないだろう。

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