壁の向こう側にある部屋で、一体何が起こったのだろうか。
壁にかかった巨大な写真の中に映るのはこちらの世界と鏡の関係にある、別世界。床、壁、天井、家具とすべて塗料が埋め尽くされ、ハプニングが通り過ぎた後のようだ。
実はこの部屋は、松岡洋太(マツオカヨウタ)が描いた破滅的な妄想を現実化した部屋である。これは虚構の世界ではなく、事実、このホテルの地下に存在した部屋なのだ。その証拠に、この部屋にはその時に使用されたバケツや家具などが数点、置かれている。
あなたが今日過ごす、モノトーンで統一されたシンプルな寛ぎの空間と、写真の中の極彩色の空間。まずはこの部屋で何が起こったのか、想像をふくらませてほしい。 部屋の机の上には制作過程を記録したQRコードがある。その問いのヒントを探すためにぜひ、その映像を確認してみよう。それらのヒントが別の世界を体感する鍵になるかもしれない。
部屋の中にある鏡の前に立つと、色彩がざわめく世界の中にあなたの姿が映し出される。この裏表の関係にある2つの世界に同時に触れることで、永遠につづくと思っている日常の一歩先に起こりうる、思わぬ変化を体験することができる。
常識のうえに成り立つ日常は、いつでもあっという間に一変する。クリエイティブな力によって別の世界を作り出すことで、その可能性を表現しているのだ。