室内にそびえ立つ巨大な円柱。一見、装飾のない無機質なこの柱は、部屋に差し込む自然光により、絶えずその表情を変えている。一時足りとも同じ色や影を映し出すことはない。それはまるで、柱と光が織りなす、インスタレーションのようだ。どうかしばらく、ベッドの真ん中に横たわり、柱を眺める時間を持ち、このインスタレーションを楽しんでほしい。

ここは、シンプルな立体物を平面で描くアーティスト・カワイハルナが、実空間で彼女の世界観を表現した作品だ。 その造形的魅力はもちろんのこと、時間の経過にともなう自然光と影の変化を豊かに感じられるような演出がなされた空間となっている。

部屋の奥には彼女の世界観を知るための手がかりとなる、真四角の絵画が展示されている。また、こてを使って塗り仕上げた壁の質感や空間の凹凸も、光と影によりいっそう、魅力が引き立つ。

夜になったら、照明を切り替えてみよう。すると、柱がまた昼とは違った艶めかしい表情に変化する。朝や昼の窓から差し込む自然光、夜の照明。それぞれの光に当てられ、違った趣を感じられるに違いない。

部屋の中に在るはずのない、重厚感のある柱がそびえ立つ空間。そこにはシンプルで奥深く、さりげなくもドラマチックな”リアリティ”がある。

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