大湯間欠泉の目の前にある湯前神社。温泉旅館の名前が刻まれた石から熱海の歴史が感じられ、身を清めるための手水が温泉で熱すぎて清められない日があるのも熱海らしい。
ところで、昔の賽銭箱は今よりふたまわりは大きかった。賽銭箱にはお金を回収をするための引き出しがついているが、あるとき、それを引き出した際に硬貨が詰まってしまったのか、一向に閉まらなくなってしまった。かといって、引き出しを引き抜くこともできず、それ以来、湯前神社の賽銭箱は盗み放題となっていた。しばらくして賽銭箱を新しくすることになったが、一度、味をしめた人間は元の生活に戻れない。賽銭箱を新しくした翌日にはバールでぶち壊されていた。一度は修理したもののまた壊されてしまい、「どうしたものか」と話し合いをしたところ「もう湯前神社の賽銭箱は取り放題でいいんじゃないか」と言う意見がでた。いやいや、と思い直して再び修理。防犯カメラを設置した。被害はおさまったが、現在も湯前神社には防犯カメラの目がきらりと輝いている。