1954年、ベトナムで地雷に散った写真家・ロバート・キャパは、その1ヶ月前に日本を訪れていた。熱海に立ち寄ったキャパはモンブランで朝食を食べたという。当時のモンブランはフランス料理店であったが、朝食ということもあり、ベーコンエッグとコーヒーをおかわり。朝からビールも飲んだという。そんなモンブランにはキャパの日本での遺作となった写真がある。
その写真には店内で調理をするシェフの姿が写っているが、実は、当時のモンブランはとなりの建物で営業していて、現在のモンブランがある建物は当時、パチンコ屋だった。壁一枚で隔てられていたため、職人気質のシェフはよく「うるさい」と怒鳴り込んでいたという。そんなシェフが考案したモカロールはロールケーキにして巻き方が独特。モンブランもまたラム酒に漬けこまれたシュークリームのようなオリジナル。キャパが食べたかどうかわからないが、そのレシピは現在も受け継がれている。