奥宮の社殿の下には、「龍穴(りゅうけつ)」があることをご存知でしょうか。龍穴とは、大地が気を発している穴のことで、奥宮の社殿はその穴の真上に建てられています。

龍穴は神聖なもので人目に触れてはいけないものとされているため、社殿を建て替える時にもその穴を覆い隠しながら工事を行います。龍穴そのものが、御神体のような役割を果たしているのです。見ることは決して叶いませんが、奥宮をお参りし、神秘的な空気を感じてみましょう。

次に、社殿の左側を見てください。船型の石組みがあるのが見えるでしょうか。この石組みの中には、「黄色い船」が安置されています。神武天皇の母だった玉依姫(たまよりひめ)がその昔、黄色い船に乗ってこの地にやってきたと伝えられており、古い文献には「黄い船」で「黄船」と記されていました。

そのようないわれから、船型の石組みは「船玉神」(ふなだまのかみ)として、航海の安全を司る力があると考えられていました。船乗りたちは石組みの間にある小石をお守りとして持ち帰り、航海が終わった時には、無事に戻ってこれたことを感謝し、小石を石組みに戻しました。

平安時代の頃より縁結びや航海安全など、それぞれに願いを持った人がご利益にあやかりたいと貴船神社を訪れるようになりました。当時の人々にとっても、貴船神社はパワースポットのような存在であったのかもしれません。

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