「倭はくにのまほろば たたなづく青垣 山ごもれる 倭し麗し」

これは古事記の一節で、奈良の美しさをあらわしている。奈良の都を包み込んでいる山々は険しく高い山ではない。むしろ、穏やかな山が連なっている。作者はそんな奈良の山々のように自分自身の心も穏やかでありたいと話す。そして、作者は若いころに別の書家が書いた同じ一節を見て、その優しく雄大な字に深く感動したことを今も覚えているという。もしかすると、この書もまた誰かにとっての忘れられない字となり、書のバトンが受け継がれていくのかもしれない。

Select language