羊の毛で作られた筆で、古梅園の墨を使い、あえて50年以上が経過した古い紙に書いたという作者。百華の字のまわりに色んな花の名前が配されているのは、繚乱=花が咲き乱れるように豊かに栄えた奈良の都を重ねているため。たとえば、東大寺の椿、奈良公園の梅、山ノ辺道の桃……そこまで聞いたところで、作者はふと思い出した。その昔、大和路でいちばん行ってみたいところをアンケートすると、室生寺がトップであった。室生寺には美しい石楠花が咲く。きょうも奈良には書ききれないほどの花が咲いている。
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