諏訪井セタリン(ペン・セタリン)さん
1954年、プノンペン生まれ/東京都在住
1974年、セタリンは日本で進学するための奨学金を得た。実家を離れて旅立たなければならない娘を心配して、母は娘を守ってくれるお守りとして仏陀のペンダントを与えた。父は身に着けていられるように腕時計を渡した。
1974年、セタリンはロン・ノル時代(クーデターで国家元首ノロドム・シハヌークから政権を奪い、王制を廃止した親米のロン・ノル首相による「クメール共和国」(1970-1975))のパスポートでカンボジアから来日した。しかし、このパスポートはカンボジアがクメール・ルージュ体制となった時、失効した。それでも彼女は今もこのパスポートを大切にしている。それは歴史的にも重要な資料であり、彼女にとっても非常に深い意味のあるものだからだ。