サム・ソンさん
1956年、カンポット生まれ/神奈川県在住
サム・ソンの家族は、カンポット州のクレアン・クオイ寺の近くでホール(女性が正装として着用する絹絣)、パームオン(正装用の絹地)、手ぬぐい、蚊帳を織る職人であった。当時は、誰もが自分の家で自分のものを織っていたため、あまり製品として売っていなかった。婚礼があれば、村人たちが互いに貸し合うこともあった。サム・ソンもまた、織ることができる。
昔、村の森で蛾を捕まえて、白い布の上に置いて卵を付加させて蚕にしていた。そして、桑の葉を入れた籐(とう)の籠に移して餌を与えた。成長した蚕は、枯れたシカクコンブレツム(シクンシ科ヨツバネカズラ属)の木の上に置いて、繭を作る。繭は煮沸され、手で糸を巻き取り、その糸を日干しにして染める。
この伝統的なホール(巻きスカート)は、カンポットで彼女の母が織ったもので、この刺繍レースのブラウスはサム・ソンが来日当初に彼女自身の手で仕立てたものだ。