今からあなたは、現実と幻想の境界線がわからなくなるような体験をするでしょう。
ここは日本で唯一のパノラマ館。パノラマ館とは、明治時代に西洋から伝わった大きな絵画とジオラマを組み合わせた劇場型の施設です。このパノラマ館では、縦5m、横40mの巨大な油絵とジオラマの連続した作品があなたを取り囲み、だまし絵のような空間に迷いこむ。画面は右から左へと続き、朝、昼、晩の1日のシーンが移り変わり、物語が連続していきます。
それは、どんな物語なのでしょう。このパノラマ館のタイトルは「屋島での夜の夢」。ここ屋島は「平家物語」にも描かれた源平合戦の舞台です。日本には赤組と白組に別れて対抗戦をする文化がありますが、それは、平家が貴族らしい赤色の旗を、源氏が武士らしい白色の旗を掲げて戦ったことが起源と言われています。まずは、そんな平家と源氏の戦いのドラマを想像してみましょう。
平家物語を知っている人は、源義経や那須与一、安徳天皇などの姿を見つけられるかもしれません。でも、このパノラマ館の中には、外国人の姿や平安時代にはないはずの物さえ描かれています。そう、この作品は「屋島での夜の夢」。ある人が屋島を訪れ、その夜に見た壮大な夢の世界が組み立てられています。
パノラマ館の作者は「現代にも通じる人間の戦いと自然の脅威、そして、無常観を伝えたい」と言っています。この言葉を手がかりに、時空間を超えた夢の世界で自由に物語を紡ぎ、あなただけの発見をしてお楽しみください。さあ、物語の幕が開きます。