なぜ、縁結びの神さまなのか? 〜水はご縁を結んでいく〜
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貴船神社

公式オーディオガイド

なぜ、縁結びの神さまなのか? 〜水はご縁を結んでいく〜

神様と呼ばれる存在に、一心に祈る姿は美しい。それは世界中どこでも同じだった。

イスタンブールの寺院でコーランの詠唱に合わせ、一糸乱れぬ動きをしていた百人のイスラム教徒。エルサレムの教会では、ロウソクの灯を前に泣きそうな顔で祈るキリスト教徒を遠くから眺め、ここ日本では、目を閉じて手を合わせて祈る横顔を見ている。

一心に祈る人からは、簡単には触れられなさそうな、触れたらすぐに壊れてしまいそうな気配を感じる。その姿はとても強くて、同時に儚げだ。

貴船神社は近年、縁結びの神様として有名になり、境内では若い女性の姿をちらほらと見かけるようになった。きっと彼女たちは「いい人が現れますように」とささやかな願いを神様に祈るのだろう。

縁結びと聞いて、多くの人が連想するのは「恋愛」だと思う。しかし、縁結びという言葉は、もともと男女の仲だけでなく、友人関係や、上司と部下、親と子など、広く人と人が出会うこと全般を指していたそうだ。そのため、貴船神社には古くから、男女の縁だけでなく、就職や子授かりなどの縁結びを願って、人々が参拝していたそうだ。

ところで、なぜ貴船神社は縁結びの神様になったのだろうか?その背景には、私たちが毎日口にする「水」と意外なつながりがあった。ご縁と水の不思議な関係を読み解いてみよう。

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NEWS & BLOG

なぜ縁結びの神さまなのか?貴船神社と連携した公式オーディオガイドスタート

4月14日より、貴船神社と提携した公式オーディオガイドをリリースしました。神社の最寄り駅である貴船口からオーディオガイドが始まり、本宮、結の社から奥宮へと合わせて13スポットで紹介しています。各スポットには、音声表示とともにガイドと連携した番号を設置。ガイドのテーマは「水」。また、ガイドを購入した人には本間寛が撮影した貴船神社の水が流れる瞬間を撮影したポストカードをプレゼントしています。神社の受付でガイドの購入画面をお見せいただければもらえます。

水と向き合う、ショートトリップ

 よく巷で、「パワースポット」と呼ばれる貴船神社。いまでは、縁結びの神さまとして多くの女性客がそれも一人で訪れるといいます。そもそも、なぜ縁結びの神さまなのか?それにはこんな逸話が広まったからと言われています。昔、恋多きとある平安の女流歌人が貴船神社に訪れました。彼女がここに訪れ願ったところ、夫の浮気がピタリと止んだとか。そこから縁結びとして世に多く広がることになるのですが、貴船神社は何も”恋”を結ぶだけの場所ではありません。

 ここには、水の神さまを祀っています。井戸端会議という言葉もあるほど昔から人は水のまわりに集まっていました。水のまわりには、あらゆる縁が集まる。だから貴船神社では、恋だけでなく友だちや家族、ビジネスのご縁がつながると言われています。

 私たちの生活に欠かせない水がつないでくれるご縁。蛇口をひねれば当たり前のように安全な水が出るいまよりも、昔の人たちの方が自然からの恵みである水を大切にしていたのかもしれません。よく見かける氷川神社は、川に対して穏やかにいてくれて「ありがとう」という感謝を込めた神社と言います。ありがとうとは、有り難い(滅多にないこと)ことへの感謝。そして、ありがとうの反対語は「当たり前」。
この神社に来たことも、またこのガイドを手に取ってくれることも何かの縁な訳ですが、よければこれを機に今でこそ当たり前にまわりに存在する水と向き合ってほしいと思います。貴船神社で、恋だけを祈るのではなく。成瀬

当たり前のことに、感謝するということ

今回のガイドを制作した鈴木です。
「神道の本質は『感謝』にある」という話をどこかの本で読んでから、僕は神社でお願いすることは少なくなりました。お稲荷さんや八幡さま、このガイドで取り上げさせてもらった貴船神社など、日本には数え切れない神社があるけれど、それらの神様は稲穂を実らせたり、雨を降らせたりするなど、人を超越した力を持っているといいます。日本の神様は人間と同じように人格を持っていて、腹をたてれば災いを起こし、機嫌がよければたくさんの恵みを与えてくれるらしい。そこで、神様がいつもご機嫌でいられるように、供物をそなえて「いつもありがとうございます」と手を合わせたことが神道のはじまり、ということになっているそうです。

 ちなみに、縁結びの神社として有名な貴船神社の主祭神は、タカオカミノカミという水神で、機嫌の良い時には雨を降らせ、腹を立てると川を氾濫させてしまうという。僕らは神社に行くと、十中八九お願いをして帰る。けれども年中人々のお願いを聞いていたら神様も疲れてしまうに違いない。そんな中、頭を下げて「いつもお世話になっています」とだけ伝える人がいれば、神様も「おお、こいつは謙虚なやつだ」と一目置いてくれる気がするのです。僕たちは社会をつくり、街を作って我がもの顔で暮らしているけれど、人間も犬や魚や植物と変わらない生き物で、時折襲ってくる天災に遭うと自然の中に生かされている存在なんだと気づかされる。少々説教くさいかもしれないけれど、貴船神社のガイドには、「神様からもう十分に与えてもらっているのだから、『いつもありがとうございます』と唱えてみませんか?」というメッセージを込めてみました。神様が機嫌を損ねてしまうと、僕たちは生活できない。人も神様も気持ち良く暮らせる方がいいじゃないかと僕は考えています。

ON THE TRIPライター・鈴木雅矩


最後に、撮影からインタビューまで、協力いただいた上に事細かにやりとりさせていただきガイド制作に多大なご協力をしてくださった貴船神社の高井さん、山田さんありがとうございました。

ON THE TRIP. ぼくたちの旅は続く。