旧那覇クロニクル
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旧那覇

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旧那覇クロニクル

1543年、鉄砲伝来。ポルトガルから種子島に“日本初”となる鉄砲が伝わった。日本人なら誰もが知っている歴史である。しかし、沖縄には、その100年前には既に鉄砲が伝来していた。なぜ、このことが日本史に刻まれていないのか。当時の沖縄は、日本ではなかったからだ。

そう、沖縄は「外国」だった。日本から遅れること1000年。平安時代末期にあたる12世紀に農耕社会が成立したこの島は、島内での戦国時代を経て、15世紀に本島の統一を果たした。このとき誕生したのが「琉球王国」である。

琉球王国は貿易国家として繁栄を極めた。中国、韓国、日本はもちろん、東南アジア各国まで。「大交易時代」と呼ばれるにふさわしい時代が続いた。その後、薩摩に攻め込まれながらも王国は続き、明治時代の廃藩置県によって日本に組みこまれる19世紀まで、約450年も独立国家であり続けたのだ。そして「沖縄県」になっても発展は続いた。1944年に「ある事件」が起きるまでは。

あなたには、この土地に埋もれた歴史をたどってみてほしい。

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目に見える遺産はなにもない。
しかし、確かな痕跡が残されていた──

旧那覇クロニクル

「ON THE TRIP ならでは」を突き詰めました


……なにもない。


ただ歩いただけでは、そう見えるかもしれません。ぼくもそうでした。しかし、那覇でいちばん興味深いのは、この風景ではないかと今は思っています。

沖縄での取材中、ぼくたちのバスは旧那覇エリアのとある一画に駐車させてもらっていました。3ヶ月はいたのではないかと思います。そのあいだ、旧那覇を何日ほっつき歩いたかわかりません。すると、はじめは見えなかったさまざまな風景が見えてきました。



たとえば、「浮島」としての地形。これはブラタモリでも紹介されていた話。貿易港としての那覇港は、長崎の出島のような浮島であった。埋め立てが進んだ現在も、その痕跡があちこちに残っていて、消えた島の輪郭が浮かび上がってくるのです。

ある人は本の中でこんなことを書いていました。

「旧那覇を走っているとわかる。自転車を漕ぐのが楽なフラットな道は埋め立て地。坂道があったりデコボコして漕ぐのがしんどいところは浮島だったところだ」と。

毎日、毎日、旧那覇を走りまわっているうちに、その言葉の意味がよくわかりました。そして、頭の中に浮島の地図ができあがっていきました。



さらにおもしろいのは、目には見えない歴史の足跡。なにせ、琉球王国450年という歴史は、江戸幕府よりも長い。ひとつの政権がこれだけ長く続いたというのは世界的にもめずらしいというが、そのぶんだけひとつの土地に文化が蓄積されているということだ。

琉球王国が存在していた450年間、王朝が一貫して首里にあったように、国際都市としての那覇は一貫して、この浮島にあった。ある意味では、東京よりも長い蓄積が、その足跡が、この地には溜まっている。

その足跡を時系列に整理して、町歩きを進めるにつれて、時代も先に進んでいくような、そんなガイドがつくれないか。那覇の450年を追体験するようなガイドを作ってみたいと思ったのです。

これが、めちゃくちゃ難しい。そんなに都合よく、次から次へと語るべきスポットがあるわけではない。もちろん時系列もめちゃくちゃだ。でも、自分自身が旧那覇で暮らしながら歩き続けること。このあたりに、あの時代を語るべきとっかかりとなる痕跡はないものかと探しまわること。そうして、バラバラのピースをつなぎあわせていくことで、このガイドが完成しました。

諸見里杉子さんのうちなーぐちで


今回のナレーションは沖縄ナレーションの第一人者である諸見里杉子さんにお願いすることができました。

数は多くはありませんが、原稿の中にこっそり潜ませていた「うちなーぐち(沖縄の方言)」はさすがでした。収録に立ち会いながら、ぼくも「おお〜!」と声を上げてしまうほどに。とくに「17|辻」を聞いてもらえれば、ひと声でわかると思います。

その収録は「株式会社エフエム那覇(タイフーンfm)」の平良斗星さんのスタジオで。杉子さんを紹介していただけたのも平良さんのおかげでした。

これから沖縄のガイドがどんどんリリースされていくと思います。それらのガイドは平良さんと杉子さん、おふたりの力があってこそ。続報もぜひご期待ください。



ぼくにとってとくに思い入れが強い旧那覇のガイド。今回は、映像も制作しました。

撮影はabelest。音楽はkoji itoyama。旧那覇のガイドに込めた「におい」を動画でも見事に表現してくれました。冒頭の動画をまだ見ていなければ、ぜひイヤホンをつけて見てもらえると嬉しいです。


ON THE TRIP. ぼくたちの旅はつづく。