あらためまして皆さま、本日はツアーにご参加いただきありがとうございます。

始まりにあたりまして、寒霞渓はどのような場所なのか簡単にご説明いたしましょう。ここ寒霞渓は、春、夏、秋、冬と四季それぞれに渓谷が美しく様変わりすることから、日本三大渓谷美のひとつといわれています。

小豆島のほぼ中央に位置する寒霞渓は、西側に標高777mの四方指(しほうざし)、東側には標高817mと瀬戸内海諸島で最も高い星ヶ城山があり、その西と東を繋ぐ狭間の渓谷が寒霞渓です。古来より、この山一帯が霊地信仰の地でありました。今日は、寒霞渓という大地から、自然に回帰していただき、癒しの旅をお楽しみください。

夜の宇宙ステーションとなった駅舎内は、未知なる世界へ旅立つ出発地点です。この宇宙ステーションの名前は、こう・うん・駅。こちらの、幸せが訪れる駅から宇宙に向けて、これから出発をしますが、今、皆さんが地に足をつけている、この大地。1300万年前は、瀬戸内海で一番大きな爆発を起こした活火山の噴火口でありました。

耳を澄せば、大地がゆらぎ、新たな生命が誕生しようとしているその息吹が、今も聞こえてきます。偉大なる大地から凄まじいエネルギーが発せられた寒霞渓は、地球に大陸が誕生したときの地質に、よく似ていると云われています。島の誕生から悠久の時を経て現在は、美しい渓谷となりましたが、その渓谷は何万年もの歳月を懸けて、浸食や風化を繰り返し大地とともに形相を変えてきました。

天地創造からなる、その神聖な火山口の中から山頂に向かって、ここから皆さんは大きなゆりかごに乗って飛び立ちます。夜の空中遊泳で日々の日常を忘れ、徐々に自然に回帰し、そして、自身の原点に回帰する旅になります。 

それでは、チケットを手に改札を進んでください。そして、お足元にご注意いただきながら右側のスロープをお昇りください。ガイドはこのまま続きます。イヤホンはそのままでお進みください。


改札のゲートをくぐると物語のはじまり。

皆さんはこれから、火山口の中を遊泳しますが、この寒霞渓という名前はかつて、神様に懸かる山、カミカケ山と呼ばれ、山麓から神に祈りを捧げる神聖な場所でありました。

その由来は、古代、応神天皇が切り立つ岩肌をのぼり、この山頂で、夜空を見上げ、国の平和や繁栄を祈ったとされることから、天皇が願いを掛けた山「カミカケ」と呼ばれました。この「カミカケ」は、地元はもとより瀬戸内海一帯で、古来より信仰の場として定着したのです。

そして皆さんは、今、宇宙に向かい大きな一歩目を踏み出します。神に懸かる山の麓、標高295m地点から、この火山口の中にある、こううん駅を出発することで、これから、ご自分やご家族、それぞれが点の存在となっていた個々の存在を一度リセットして、暗闇の空間に身を委ねてみましょう。遠い遠い宇宙空間と寒霞渓、そして皆さま、ひとりひとりを結ぶ 物語がここから始まります。

大きなゆりかごの前に到着したら、お足元にご注意いただきご乗車ください。そして、出発のベルと同時に次のガイドをスタートしてください。

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