みなさま、ようこそお越しくださいました。
今、あなたが乗っているのは、遥かなる宇宙に旅立つため、そして大いなる自然の中に入っていくためのゆりかご。暗闇の中を進むこのゆりかごは、約5分で目的地に到着します。
あなたが今向かっているのは、瀬戸内海の最高峰「星ヶ城山」に連なる寒霞渓の山頂。そこには、世界有数のスピリチュアルな星空がひろがっています。小豆島は本州と四国のちょうど真ん中に浮かぶ島です。だから街の光を避けて星空を観賞することができる、瀬戸内でいちばん星に近い場所なのです。
寒霞渓は、昔から修験者が神を祀り仏に祈る修行の場所でした。命をかけて臨む厳しい修行は昼夜を問わずおこなわれました。一心不乱にお経を唱え続け、ふと夜空を見上げると、満天の星空が見えたことでしょう。これから私たちは何百年もの昔に、彼らが見ていたものと、同じ星空を見に行くのです。弘法大師・空海は明けの明星、つまり金星が、口から入る体験をして宇宙と一体になれた、と記しています。
悟りをひらくことは、宇宙を知り宇宙と一体になることなのかもしれません。そして、昔も今も変わらず星空の基準となっているのが北極星です。北極星は信仰の対象であるだけでなく、海を行き交う船乗りにとっても、欠かすことのできない目印でした。
この星は、あらゆる人々の心のよりどころであり、向かうべき方向を知るために欠かせない輝きなのです。
これから、あなたは、遥かなる星の世界に飛び込んでいこうとしています。太古の昔からかわらない星の光を全身で感じてみて下さい。もしかすると、その中の一つがあなたの運命の星となって問いかけてくるかもしれません。
さあ、もうすぐ山頂に到着です。到着したら、お足元にご注意いただき階段をお上りください。