皆さんは、宇宙にまた一歩近づきました。

寒霞渓山頂ステーションと、その先に広がるこの場所は、瀬戸内海の海抜ゼロ地点から、標高295m地点、こううん駅の火山地帯を出発して、現在、612mの願いを叶える場所、神の域にいます。

これから、皆さんの心と身体を瀬戸内の海から寒霞渓の大地、そして宇宙へと繋がりを感じていただくお手伝いをさせていただきます。

この場所で落ち着ける場所を探して座ってみてください。腰をおろしたら、まずはリラックスした体勢で、お聞きください。

これから、更にゆっくりと外界の俗世から離れて、寒霞渓の大地に身を委ねていきましょう。

始めに、この夜空に目を慣らしていきます。これからするお話の間は、目を閉じてお聞きください。

始まりは、星と人との関りについてのお話です。138億年前、無の空間から誕生した小さな宇宙は、とてつもない時間をかけて膨張しながら銀河系、太陽系の星たちを創造しています。私たちが住んでいるこの地球は奇跡の星。火・水・空気、そして大地という自然界の四元素があって生命が誕生しています。

かつて、人と自然は調和して生きていました。日の出ともに目を覚まし、日の入りとともに住み家に戻り。四季の移ろいや星の動きとともに作物を収穫しては食べ、風や気温に合わせて衣服を整えて自然界のリズムに合わせて生きていました。

日本では飛鳥時代、奈良県にあるキトラ古墳の壁画に星占いの元となる天文図が描かれています。その後、時代が移り変わるとともに陰陽師が暦や占い、星に向かって祈祷する 星まつりを行い、仏教では宿曜道と呼ばれる星の信仰が盛んになりました。日本でも古くから星の信仰が広がり、人は星と昔から深い結びつきがあります。

こんにちでは衣食住も足りている当たり前の生活ですが、人の体は今でも星や月の周期に合わせてリズムや生活を作っているのではないでしょうか。

それでは、そのままの姿勢で、ゆっくりと目を開けてください。皆さまの目が少し暗闇に慣れ、夜空が見やすくなったのではないでしょうか?

夜に輝く星の光が徐々に強さを増し、天体が広がり始めました。この天体の光は、遠い過去の光。もしかすると、人類誕生より遥か昔、火山帯であった寒霞渓の1300万年前の光を今、見ているのかも知れません。

では、ここで北極星を探してみましょう。世界の中心であるとされた北極星は時として神とされ、その一番近くで周る北斗七星は人に例えられてきました。その北斗七星は、人が生まれた年の干支で、7つの守り星となる運命星に振り分けられています。

このように、運命星が皆さまひとりひとりにあるのは、今も昔の人も、人生に迷ったとき、どうするべきか決断を迫られたとき、夜空を眺め、星を通じて宇宙の流れを知ろうとし、占い、結果を知る。結果を知り、人間は理性をもって、また結果を変えることができるのです。

星を仰ぐと人は自然と胸を張る姿勢になります。辛いときには、肩を落とさずに天を仰いでみましょう。星を見つめると何か大事なことに気付くかもしれません。今日は、自身の守り星があること。「星に願いをかける」意味を少しだけ知っていただける、そんなキッカケとなれば幸いです。

これより皆さんに、「コズミック・メディテーション」ともいうべき瞑想体験をしていただきます。

それでは皆さんの五感を更に研ぎ澄ませていくために、大地に横になり、夜空に向かって仰向けになるように寝そべる体勢になってください。仰向けになれたでしょうか。そうしたら、両足は肩幅くらいに開いて、肩の力を抜き両腕はお腹の上で軽く手を結んで、自然な位置においてください。

準備ができたでしょうか。ここからまずは、身体をリラックスさせて、徐々に自然へと回帰していきましょう。始めに身体の緊張をほぐすために、手足や首を軽く揺すって力を抜きます。

それでは、揺すってみましょう。

それから、両足をゆるりと外に開きます。手もゆるりと外に開きます。眼は見開くのでもなく、閉じるのでもなく、半ば開きます。

その姿勢でイメージしましょう。自分の身体の重みで地面に沈み込んでいく感覚です。だんだん地面に沈み込んでいきます。

自分の身体が液体になったと思ってみましょう。液体が重力に引かれて地面に流れてゆく、地面にゆっくり染み込んでゆく、染み込んでゆくーー。それにつれて身体が軽く楽になってゆく、楽になってゆくーー。

どうですか? 力が抜けて、楽になったでしょうか。

次に呼吸を整えていきましょう。息を吸う時にお腹をまあるく膨らませ、吐く時はそのお腹をしぼませていく、腹式呼吸を行います。吐ききった反動で、自然に吸いこむのを意識すると、楽に呼吸ができます。

ここからは、4・4・8の呼吸法をおこなっていきます。4秒間吸って、4秒間息を止め、その後8秒かけて吐きます。息を止めている間、吸った空気を全身に行き渡らせるようなイメージを持つとより効果的です。

体内にあった空気と寒霞渓の空気を馴染ませていくような感覚です。できるだけ鼻から吸って、口から息を吐いてみましょう。

では、始めていきます。
今身体の中にある息を一度全て吐き切りましょう。
大きく吐いて「フーーーー」
吐ききったら、鼻から大きく吸ってーー2ー3ー4
止めてーー2ー3ー4
吐いてーー2ー3ー4ー5ー6ー7ー8
吸ってーー2ー3ー4
止めてーー2ー3ー4
吐いてーー2ー3ー4ー5ー6ー7ー8

最後の一呼吸を吐ききったら、いつもの自然な呼吸に戻していきましょう。

それではここから、さらに深く長い呼吸をして、自然と一体化していきます。

腹式呼吸で、8秒吸って8秒吐く、全身呼吸法をおこないましょう。吸った息を味わうように、自分のペースを大切にしながらリラックス状態へ入っていきます。

では、始めていきます。

今身体の中にある息を全て吐き切ります。
大きく吐いて「フーーーー」
吐ききったら、やわらかく吸ってーー2ー3ー4ー5ー6ー7ー8
吐いてーー2ー3ー4ー5ー6ー7ー8
吸ってーー2ー3ー4ー5ー6ー7ー8
吐いてーー2ー3ー4ー5ー6ー7ー8

寒霞渓の空気が体内に馴染み、大地と一体になっていく感覚が得られるでしょうか?

吐く息に意識をおいて、吸う息は身体にまかせるとスムーズに呼吸ができます。では、その状態でイメージしましょう。心の中に波立つ水面があって、その水面が徐々に静まっていきます。少しずつ波が消え、やがて波は完全に静まって心の中の水面は鏡のようになって、夜空の星の光を映し出します。心の波が静まったら、まるで、もう一人の自分が横たわっている自分を上から観察しているかのような感覚で、俯瞰して、自分の状態を確認し、問いかけていきましょう。

「楽に呼吸ができて、心も身体もくつろいでいますか?」
「今、ここに生きているという実感がありますか?」
「これ以上なにか必要なものがありますか?」

どうでしょうか、普段皆さんが大事にされているもの、大切にされているもの、そんなあれこれがなくても、現に今ここで皆さんは楽に息をして、ゆったりとくつろいでいて、生きていて、生かされています。

今、ここでゆったりとしている自分自身を実感しましょう。空気も水も命も自分が作り出したものではなく、何の理由もなく与えられています。そのように考えると今、目の前に広がっている星空、つまり宇宙に感謝の念が湧いてくるかもしれません。

改めて星々を眺めてみましょう。ひとつの星をジッと見るのではなく、何となく全体を眺めましょう。

今観えている星々の多くが何万年、何十万年も前に放たれた光です。長い長い旅の末に地球に届き、その光の粒子は今、皆さんの網膜に捕えられて、ようやく長い旅路を終えています。今皆さんが眺めている星は、もう既にないかもしれません。今、観えている星は、何万年も前の姿だからです。

今、命を得て生きて息をしているこの身体も、お父さんお母さんがいて生まれたものです。お父さんお母さんもそれぞれに、お父さんお母さんが必ずいて、命をつないできました。数え切れない命があって、今、ここで、皆さんは息をしています。そして、私たち自身も、やがては宇宙を成り立たせているものへと、還ります。

次は、皆さんの身体の中から宇宙へと一体になっていくことをイメージしてみましょう。いつもの自然な呼吸でリラックスした状態のままお聞きください。

まずは、身体の中に目を向けてみましょう。皆さんの身体はおよそ37兆個の細胞と40兆個の細菌がいて人の身体を形づくっています。小さな小さな一つ一つの細胞と細菌などの小さな生命が集まって、人間になって、泣いたり笑ったり、怒ったりして、日々を送っています。

この地球も様々な生き物や、様々なもので出来ています。それらが集まると私たちには感じられないだけで、意思のようなものがあるかもしれません。そんな星々が集まった色々な銀河にも意思があるかもしれません。

ただ、私たちが感じられないだけかもしれないのです。宇宙全体の大きさから考えると、確かに私たち人間の一人一人は、あるかないかわからないほどの小さな小さな存在です。それでも確かに宇宙を形づくっている宇宙のひとかけらです。

想像してみましょう。吸う息と共に目の前の宇宙の意思が、皆さんの身体の中に入って、細胞の一つ一つまで沁みわたります。吐く息と共に皆さん一人一人の意思が、目の前の宇宙に溶け込んでいきます。

息をするたびにあなたが宇宙になって、宇宙があなたになっていきます。呼吸のたびに深まって、徐々に、徐々に、宇宙とあなたが一体になっていきます。1分間、無の時間を作りますので、この想像を繰り返して、しばらく宇宙との一体感を味わってください。



いかがでしたでしょうか。瀬戸内で空にいちばん近いこの場所から宇宙の旅に出て感じたこと、そこで得たものを持ち帰ってもらえたらと思います。

では、楽な姿勢のまま、ゆっくりと宇宙から帰還していきましょう。

身体の中から意識をします。注意を凝らすとご自分の心臓が鼓動しているのが感じられると思います。毛細血管まで含めると、私たちの身体の中の血管の長さは大体、地球二周半ほどになるそうです。心臓から出た血液はおよそ30秒で心臓に戻ってきます。血流を意識することによって、だんだんと血流が戻り、血流が戻ったことで少し身体が温かくなります。

心臓の鼓動と30秒で血液が巡る体内を意識してください。温かくなり始めた身体を少しずつ動かしていきます。息を吐きながら左右の手のひらで胸からお腹へとゆっくり5秒をかけて3回撫でおろします。それでは、いきます。

息を吸って、息を吐きながらお腹に撫でおろしまーすー2ー3ー4ー5。
では、手を胸に戻して、ご自分のリズムで息を吸って、撫でおろしまーすー2ー3ー4ー5。
最後です。ゆっくり息を吸ってゆっくり吐きまーすー2ー3ー4ー5。

それでは、両てのひら、足の指を握ったり開いたり、指先の感覚を戻していきます。手先、足先の感覚が戻ったら、お顔を左右に揺らしていきましょう。瞬きをしてゆっくりと目を開けていきます。全身を軽く揺すって、身体の感覚が十分に戻ったら、ゆっくりと身体を起します。リラックスして座る体勢にお戻りください。

皆さま、おかえりなさいませ。瞑想はいかがでしたか? スピリチュアルな体験はできたでしょうか。

普段私たちは「自分で生きている」と思いがちですが、地球の歴史を考えると、遥か昔に大地が形成され、人類もさまざまな進化を繰り返し、今ここに私たちがいます。私たちは地球から見れば本当に小さな存在です。自分のものさしで見ている世界は小さな世界、それなのにその小さな世界を大きな世界だと信じてしまいます。

何か問題を抱えた時、小さな自分の、小さな腕で自分を抱き抱えると、その中が全てだと思ってしまいます。狭く、息苦しいなと感じたら、ぜひ今日のように空を見上げて、ゆっくり深呼吸をしてみてください。大きく、広い世界を感じ、生かされているという感覚と同時に、母なる地球に包まれていることを思い出しましょう。

それでは引き続き、夜の寒霞渓をお楽しみください。

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