漁師町から北前船、そして若狭塗の町へ。そんな西津の歴史を見守ってきたのは、お地蔵様といえるかもしれません。

網元による網目の道には、それぞれの通りに必ずといってもいいほど、お地蔵様があります。その多くは、漁師が海で漁をしていたときに網に引っかかったものといわれ、漁の安全を願う意味もこめられています。そんなお地蔵様には色鮮やかな化粧がほどこされています。これは西津の子どもたちが年に一度、塗り直しているからです。若狭塗の産地だけあって一部には漆で塗られたお地蔵様もあります。

お地蔵様にはべべと呼ばれる「よだれかけ」がかかっているものがあります。昔は、幼いうちに亡くなってしまう子どもがたくさんいました。そのとき、その子どもが使っていたべべをかけることで、あの世で救われることを願ったともいわれています。日本には七五三という文化もありますが、昔は3歳まで生きられるかがひとつの境目でした。だからこそ、3歳までは神様の子どもであり、あえて名前をつけなかったともいわれます。

西津にある化粧地蔵は100を超えています。子どもたちの命はもちろん、漁師や北前船の海の仕事にも命がかかっています。だからこそ、これだけたくさんのお地蔵様が祀られているのかもしれません。

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