もとは遠いという字に松の木の松と書いて「遠松寺」としたのがはじまりで、のちに洪水の被害によって対岸の地となるこの場所に移されました。その際に、現在の「圓照寺」という字にあらためたといわれています。

本尊は高さ2m50cmを超える大日如来。大日如来は薬師如来より新しい仏様です。というのも、もともと釈迦如来、薬師如来、阿弥陀如来の3つの如来があったのですが、平安時代になって空海や最澄の密教が伝わると、3つの如来のさらに上の最高位に大日如来が設定されたのです。そんな密教の根本である大日如来像は平安時代の終わりのもので、鎌倉彫刻の新しい時代の息吹が感じられます。

ところで、この場所は「尾崎」と呼ばれています。この地域には多田ヶ岳を竜のかたちに見立て、若狭彦神社のあるあたりを「竜前」と呼びます。では、竜の尻尾にあたる場所はどこなのか。それが、ここ尾崎なのです。そうして、山と里の境界に神社や寺をつくることで神聖な場所を守っていく。そこには御食国の根本である水を守るという意識もあったことでしょう。龍は水を吐き出すことから、水を司る存在ともいわれています。神宮寺の水を守ってきたのは、神宮寺だけではありません。若狭のいたるところで、その意識が根付いていたのではないでしょうか。

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