ー自己紹介お願いします。

こんにちは、台北台湾出身のテオム・チェンです。台湾大学文学院哲学科を卒業しました。
自分の考え方やアイデアを伝える方法は無いのだろうかと、興味本位でインターネットを使い、独学で様々なアートメディアの勉強をしました。
私はショートフィルムのディレクターであり、2D及び3Dのアニメーションを描いたり、キネティックインスタレーションや装置を作ったり、今ではビデオゲームの制作をしています。
特に東洋哲学に強く影響を受けていて、私の作品は、凝った構成をもとにシュールな雰囲気を作ることが多く、対立と類似、アイデンティティーと相互補完、適合、バランス、調和といった概念についての私の考えを、乾いたトーンのユーモアで表現しているように思います。
最近ではゲーム制作に1番力を入れていて、この技術を使ったインタラクティブ・アートやシネマティック・パフォーマンスを行っています。キネティック、すなわち運動によるコントロールを用いたオーディオビジュアルショーで、音と身体の視覚的体験の同期した状況を制作しております。


ー鑑賞者に何処を特に見て欲しいですか?

鑑賞者には見るだけではなく、実際に作品をプレイして、作品と鑑賞者の間にある繋がりを見つけて欲しいです。最近、私は "ギセイタイ"(擬似生態系)と呼ばれる新しい作品シリーズを制作し始めました。
そこでは、多様な環境に生息する新たなAIクリーチャーを多くプログラムしています。そのクリーチャーたちは、それぞれ異なる見た目や性格、癖などを持っていて、さらに置かれた環境やお互いに影響し合います。生まれては死に、仲間を作って遊び、食事をしたり仮想世界の中で何かを作りあげていきます。大事なのは、それが何になるのかさえわからないようなものを作ること、見るたびに常に変化するようなものを作ること、あなたも作品と相互に影響しあうことができて、システム全体の軌道を徐々に変えていくようなものなのです。


ー本作品に至った理由、経緯を教えてください。

ゲーム制作や、AI、プログラミングをしていく中で、芸術というものの最終的なゴールというのは、何か生命のようなものを生み出すことだと思ったんです。
数年前からゲームデザインの練習をしていて、今やっとこのような何かを作る手段ができました。 これらは庭や水槽を作ることに似ています。
自分が月日をかけて世話をし、育てていった物が他人に体験され、楽しんでもらえて、見るたびに毎回変化していく作品を作りあげたいと思いました。


ー作品を通じて伝えたいことはありますか。

先の質問でも言ったように、私の作品では、世界における対立と類似、アイデンティティーと相互補完、そしてバランスと調和に焦点を当てています。このようなある種の生態系は、仮装的にこれらの思想を内包しているような、つまり哲学や思想の仮想世界であると私は思っています。


ー制作の上でのこだわり、工夫点を教えて下さい。

擬似生態系を設計することですかね。まず初めに、今回の実験のゴールを設定するんですが、例えば今回はどのくらいまで実験で到達すべきなのかを設定します。そして、今回はどんな方法を用いるべきか、さらに個々のキャラクターや環境の変数をどう設定するかなど。
主なゴールは、刺激的であると同時にバランスを取ることで、この仮想世界を機能させるために、すべてのAIやちょっとした変数のようなものをどう設計するかが一番難しいところです。

ーBnA でのアートインレジデンスはいかがでしたか?

最高でした。と言うのも、泊まらせてもらった部屋が展示スペースと繋がっていて、いつでも自分の制作ができたので最高でしたね。それに、このホテルは美術館でもあって、だから皆が芸術の仕組みや美意識を理解していると思う。
あと京都はアートを創作するのに凄くいい所だと思っていて、凄く静かな環境で、私は大好きです。それに人々は、色々なモノづくり、職人技にリスペクトを持っていて。だから、自分みたいな作品作りのプロセスを持つ人間にとっては、理想的だったと思います。

Teom Chen + INTA-NET KYOTO
干渉
ミクスドメディア
2023

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