ー自己紹介をお願いします。

藤田:普段東京ベースで活動してる藤田クレアです。

白石:京都で活動している白石晃一です。

石川:同じく京都で活動している石川琢也です。この3人は、成り立ちとしては、京都で昨年12月にメトロという音楽ベニューで展覧会をやりまして、僕がその制作に入っておりまして、その出展作家として、藤田さんと白石さんがおりました。その2人と今回何か物を作りたい、何かこの3人で何かコレクティブというよりも、遠足行きませんかみたいな。そんな関係で何かできたらいいかなということで、今回3人で参加した次第でございます。

ー本作品の制作に至った理由、経緯を教えてください。

白石:はい。まず一番初めにここの制作を始めるにあたって、藤田さんも私もキネティックな作品を結構作るっていうことが多かったので、そういった動く作品ってどうしたってメンテナンスみたいな部分が出てくるんですよね。なんで、そのメンテナンスっていうのが、作品の制作段階だけじゃなくって、鑑賞のタイミングでも出てくるようなものを作りたいなっていうことを考え始めました。
そういった話をする中で、一番初めに我々がトライしたのが、京都に、BnAを滞在させてもらって、空間を見るタイミングでみんなでチャールズ・チャップリンのモダンタイムスを見たんですね。
モダンタイムス、結構示唆的な作品で、その中でやはり近代における神経症的な、チャップリンがコメディに変えてみせていますけど、労働者が搾取されているっていう景色というか、状態っていうのを非常に神経症的に見せたりだとか、それをコメディに変えていったりだとか、機械的に人間が扱われるっていうことに対して非常に反発するようなシーンとかもいっぱいあったわけですけど。なんかこの、その感じってのが現代的にも見て取れるというか、我々の生活の中にもすごくあるなっていうところがあって、何かそれをキネティック、機械を使って作品を動かしたりするわけですけど、歯車だったりいろんな動力だったり。
何かそういった部分っていうのを、ある種の我々が機械に対してケアをしていくっていうことだとか、それを何かもしかしたら鑑賞者とか体験者とかっていうところに対して、受けてケアの目を向けていくということだったりだとか、何かそういったことをこの制作の中、見せる中でできないかなっていうことをずっと考えながら制作を行ってきました。

ー鑑賞者にどこを特に見てほしいですか。

石川:はい。もうこれちょっと経緯にも繋がるんですけど、当初石を使うっていうのは最初は想定してなくて、機械、例えば勝手に動く自動で動くルンバみたいなものだったりとかをいろいろ実験したんですけど、やはり何かどうしてもですね、こちらの想定外の動きをすることだったりっていうのも、どこか自分たちがそれを強いてるような、どこまでいっても想定内になっちゃうというのがあって。これはおそらく自動生成もしくはAI生成みたいなことも同じようなことなのかもしれないんですけども、どこかでやはり主従関係みたいなものから逃れたいというのが、話していく中で出てきて、やっぱりそういう中では石を1回入れてみるかということで、トライアルしてみたということですかね。

白石:そうですね。なんか自然物ってやっぱり機械とは違うので、自分たちがやりたいような形にはなってないんですよね。何かそれをどうにか最小限の手を加えていって、今回は、回すとか回さなかったりとか、触れたりとかっていうことをやってるわけですけど。そこをどういうふうに工夫していけるのかっていうことを、もう本当川で石を拾う段階から、この石はいいなとかっていうこととかを見ていきながら、制作を進めてきました。

藤田:そして、石に、私達が手を加えることだったりとか、幾何学的な形を導入していったりとか、グリッド上の中で配置を考えたりとかっていう、自然物と人間の、数字で出したものっていうのを組み合わせることが、この空間の中で起きてるのでそこもぜひ見ていただきたいところだと思います。


ー作品を通じて伝えたいことはありますか。

白石:この取り組みの、筒井さんが頑張ってやってくれてる取り組みのおかげもあってと思うんですけれども、クレアさんとか石川さんとは同僚でもあったりするんだけれども、3人でチームを組むってのは本当に初めてだったんですね。だからこそ、何かこの場所でしかできないこととか、いつも自分がやってるものの延長線とは違うものをちょっとやっていこうっていうことが、僕なりにも他の2人もあると思うんだけど、そういうことも結構できたなと思っていて。本当に遠足楽しかったな、ていうのが今回の制作自体の印象なんですよね。なんで鑑賞者の皆さんにもぜひ、皆さんも何かちょっとフラフラと歩いたりだとか、ここからBnAのホテルからとかだったりするとか鴨川がめちゃめちゃ近いんで、みんなに鴨川に行ってもらいたいなっていうふうに思っています。

行きたい。
行きたい。
行きたい。

ー制作の上でのこだわり、工夫点を教えてください。

藤田:今回の展示会場が結構縦長な空間で、しかも窓からしか見られないような空間なので、それをいかにうまく生かしながら作品を制作できるかを結構考えたところですね。その中で、自然の石を回すことによって、その石の形が360度見られるような状態にもなってますし、あとは自然界で見られないような人工的な色を組み合わせることで、そういう人工と自然の対比を強調させたっていうか、そういうところもぜひ見てほしい点です。

ーこの3人による遠足という集まりに関して、もう少し詳しく教えてください。

石川:遠足。概念としての遠足でもあるし、本当に遠足でもあるんですけども。一応(2023年)12月にまたですね、遠足しまして、それはまたどこかしらで知られると思うますので、楽しめしていただきたいですし、僕らも今回やったやつを踏まえて、またいろいろとこれが発展というか、また普段だったら自分1人だとやらないことをできる機会になればいいと思いますし、さらにでも今回やったテーマは、自分たちとしては面白かったので、これをより議論できるっていうのも面白いと思いますし、何かしらテキストみたいなものでも出したいなと思います。

白石:石も、たまたま今これ、作品として集まってきただけで、これもある種の遠足なんですよね。作品として、このBnAの会期が終わったら、今度は石も作品ではなく、ただの石として鴨川に戻したいなというふうに思ってますんで、皆さんお時間があったらそれを探してみてください。我々もそれを何か探せるような工夫をして、またこれ再展示なんてあったら、それをまた集結させて、自然に戻った石をもう一度作品化するっていう、そういったような感じの、集まったり、離れていったりみたいな。そういう遠足的な感じで作品を展開していこうかと思いますので、皆さんも今後の我々の活動、あるかないかわかりませんけど。楽しみにしてください。

藤田クレア+白石晃一+石川琢也
過干渉の行方
石、金属、樹脂
2023

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