セリ場の一角には卸が管理している水槽があります。その魚を買い付ける仲卸から、いろんな注文がはいります。「生きた状態の魚がほしい」「締めたての魚がほしい」そんなニーズに応えるために、この水槽で魚を生かしています。九州や四国などから巨大な生けすごとトラックで運びこまれるのですが、この水槽にいるのはわずか2〜3日ぐらい。どんどん出荷して魚は入れ替わっていきます。

新鮮といえば、横浜市中央卸売市場には「追っかけ」と呼ばれる特別なセリがあります。たとえば、平塚の海の定置網にかかった魚を捕りに行くのが3時だとすれば、水揚げして梱包してこの市場に運び込むのは7時くらいになります。それだと、通常はセリが行われる時間に間に合わず、次の日に売ることになります。しかし、1時間前倒しをして、2時に定置網の魚を捕りに行ってもらえば、6時のセリにギリギリ間に合うことになります。はじめは漁師さんも嫌がりましたが、市場の人たちが「少しでも高く売るから」と説得して、当日のセリに間に合わせるようになりました。

なぜ、「追っかけ」というかというと、朝売りに間に合うようにギリギリの時間に追っかけてくるからです。そこからさらに豊洲に行こうとしても、さらに1時間かかるのでもう間に合いません。だからこそ、追っかけは、近くに漁港を持つ横浜市中央卸売市場だけの強みになっています。夜中には泳いでいた魚が朝には市場に並んでいるわけですから、最も新鮮で人気があり、すぐに売れてしまいます。

Next Contents

Select language