大地の成り立ちのコーナーでは、隠岐諸島の成り立ちを知ることができます。そして、日本列島がどのように形成されたのか、また地球規模の環境変化や地球内部のことを知ることができます。
正面のパネルを見てください。日本列島が現在の場所に移動してきたのは、今から約1500万年前のことです。もともとユーラシア大陸の一部だった日本は、約2800万年前からプレートの活動と火山活動によって大陸から切り離されていったのです。大地は今も動き続けています。その証拠にハワイの島々は毎年12cmずつ日本に近づいていて、今から1億年後には日本列島にぶつかると考えられています。
このように大地が動き、日本列島が大陸から切り離されていく過程で、大地は引き伸ばされ、真ん中に窪地ができました。そこに雨がたまって大きな湖が形成されます。この時代、隠岐は湖の底にありました。それから、さらに大地は引き伸ばされていき、日本列島は完全に切り離され、約1700万年前に海水が入り込んで日本海が形成されていきます。この時代、隠岐はまだ深い海の底にありました。そこから、さらに長い時間をかけて上昇していき、今から約600万年前の2つの大きな火山活動によって島前と島後が誕生したのです。
隠岐では、こうした大陸の時代や湖の底にあった時代、日本海が形成された時代の証拠となる地質を、道路わきで簡単に見ることができます。
【隠岐片麻岩】
たとえば、大陸の時代の証拠となるのが、左端に展示している「隠岐片麻岩」です。隠岐片麻岩は約2億5000万年前に形成されたもので、同じ片麻岩が日本はもちろん中国にもあることから、日本列島がかつてユーラシア大陸の一部であったことが推測できます。隠岐片麻岩が形成された2億5000万年前は、現在の南極を含む6大陸がひとつの大きな大陸=パンゲア大陸の時代でした。片麻岩の元となる砂や泥は約20億年前のもので、プレートの活動によって地下15kmまで運ばれ、約800度の熱と圧力によって形成されました。現在、この隠岐片麻岩が地上の高いところにあることから、プレートの活動によって深い海の底から上昇し、火山活動によって山の上に持ち上げられたことが推測できます。隠岐では、この片麻岩を砂利として利用しているので、隠岐を歩いているときに、みなさんが踏んでいる石はほとんど隠岐片麻岩です。
【グリーンタフ】
次に、湖の時代の証拠となるのが、隣に展示している緑色の岩石、約2000万年前の「グリーンタフ」です。では、なぜ、この岩石が湖の時代の証拠となるのでしょうか。それは、この地層の中からワニの足跡などの化石が発見されているからです。隠岐でもこの地層からワニの骨の化石が発見されていて、その大きさから、約7mのワニがいたことが推測されます。ワニがいたということは、そのころの隠岐は海ではなく湖であったということ、さらには東南アジアのような亜熱帯気候であったこともわかります。
【ホタテガイの化石】
展示ケースの右端にある化石は約1000万年前の地層から発見されたホタテガイの化石です。ホタテガイの化石が発見されるということは、湖ではなく海であったことが推測され、北海道のように寒かったことも分かります。地球は10万年おきに寒くなったり暖かくなったりを繰り返していることが、このような化石を通して見えてくるのです。
【マントルゼノリス】
さらに隠岐では地球の内部のことも知ることができます。その手がかりが「マントルゼノリス」です。地球の断面を調べるためには、ボーリングをしてサンプルを取らなければなりません。しかし、大地の厚さは30kmほどあり、人類はまだ地下13kmまでしかボーリングできていません。ただし、隠岐は激しい火山活動によって形成されたため、地下深くのマントル成分が噴き出しています。そのため、海岸で地球のマントルを観察することができるのです。展示されている黒い石の中に緑色の鉱物が含まれているのがわかるでしょうか。それが地球のマントル成分です。
それでは独自の生態系のコーナーに移動しましょう。