玉若酢命神社は隠岐の総社です。総社とは、平安時代に中央から派遣された役人が楽をするために設けられた制度です。当時の役人は各地に赴任したときに、その地域の神社を一宮、二宮、三宮と順番に全ての神社を参拝しなければならなかったのですが、隠岐には現在でも150社以上の神社があるほどで、全ての神社を参拝することは大変な重労働でした。そのため、隠岐の中心地であったこの場所に全ての神様を集めた総社を設け、総社を参拝することで全ての神社を参拝したことになるという制度を作ったのです。
【神社の参拝について】
それでは、さっそく参拝してみましょう。みなさんは神社を参拝するとき、参道のどちら側を歩くでしょうか。参道の中央は神様が通る道なので、私たちが歩くのは参道の左側か右側となりますが、一般的に参道の左側を歩いて参拝します。その理由が目の前にある隋神門にあります。その隋神門には、本殿にいる神様から見て右側に「右大臣」、左側に「左大臣」が配置されています。右大臣と左大臣では、右大臣のほうが位が低く、その右大臣側を歩くため、私たちは参道の左側を歩いて神様に会いにいくのです。手水舎が参道の左側にあるのも偶然ではないのです。
【八百杉】
随神門を抜けると大きな杉の木に目が奪われることでしょう。それは、八百杉(やおすぎ)と呼ばれる、樹齢約二千年の杉です。人魚の肉を食べて不老不死となった八百比丘尼(やおびくに)が植えた杉であることから八百杉と呼ばれるようになりました。八百杉はたくさんの柱に支えられています。というのも、樹木の多くは樹齢500年を過ぎると中が空洞になります。この八百杉も空洞になっているため折れてしまわないように柱で支えているのです。そんな八百杉を見上げたら、そのまま拝殿の方に進んで参拝しましょう。
【神社での参拝】
神社では2礼2拍1礼を。最初に2回お辞儀をして、次に2回拍手をして、最後にお礼の気持ちを込めて1回お辞儀をしてください。拝殿での参拝が終わりましたら、拝殿の横に回って本殿を見てみましょう。本殿は1793年に建てられた国の重要文化財です。隠岐ならではの神社建築であることから「隠岐造り」と呼ばれ、日本の有名な神社建築の良いところを取り入れた建築様式となっています。たとえば、屋根は出雲大社の「大社造り」、本殿前の「ひさし」は春日大社の「春日造り」、間取りは伊勢神宮の「神明造り」となっています。
参拝を終えたら次のスポットに参りましょう。