アロマの世界に飛び込んで

ハーブ畑に囲まれたアロマ工房。ここではまず、ヘルジアン・ウッドが誕生した背景をお話ししましょう。

ヘルジアン・ウッドは、前田薬品の代表、前田大介さんのある経験からはじまりました。前田さんは当時、危機的な状況にあった会社を立て直すため、肉体的にも精神的にもハードな日々を過ごしていました。ところがある時、無理がたたって倒れてしまいます。激しい頭痛が続き、顔もうまく動かない。ベッドから起き上がれないほど体が重く、病院へ行っても治療法がわからない……。

1週間近く寝込む日々が続きました。そんな時、知り合いに勧められたのがアロマでした。ラベンダー、ゼラニウム、スウィートオレンジ。ハーブを組み合わせた香りを吸い込むと、まるで深い霧が一気に晴れ渡るように、痛みがやわらいでいったのです。

アロマには、心身をサポートする力がある。その効果を、もっと多くの人に知ってもらいたい。そんな想いから、前田さんはアロマオイルの世界に飛び込みました。そして、このアロマ工房がつくられたのです。

The Workshopでは普段、ハーブやアロマの専門知識を持つスタッフがセミナーやワークショップを開催しています。工房には、銀色に光る蒸留機があります。焼酎を作る際の技術を応用して生まれた特別なアロマ蒸留機を福岡から運んだそうです。ここで、収穫したハーブからアロマオイルやアロマウォーターを抽出しています。

アロマオイルはとても貴重なもの。蒸留器の奥にあるラベンダー畑の畝を2列すべて使って、ようやく小瓶1つぶんが採れるそうです。エッセンスを凝縮したフレッシュな香りを、ぜひ体験してください。

前田さんはもともとアロマに詳しいわけではありませんが、その力を身をもって知ったことで、関心を抱くようになったと言います。そして学んでいく中で、日本では100円ショップなどでも手に入るような雑貨品扱いのアロマオイルが、ドイツやイギリス、ベルギーなどではれっきとした医薬品として処方されていること、その原料がハーブであることなどを知りました。

アロマのルーツは2500年ほど前までさかのぼるといいます。古代ギリシャの医師であり哲学者のヒポクラテスが、「体調が悪い」と訴える人々に、ハーブをブレンドして煮出した汁を処方していたことがはじまりです。400種類ほどのハーブを症状に応じて掛け合わせ、「腹痛にはこれ」「頭痛がひどいならこれ」と、薬のように飲ませていたのだそうです。

ヒポクラテスは「医学の祖」とも言われます。医療や薬の原点は、ハーブにあったのです。

製薬会社の代表として、前田さんはそのつながりに運命的なものを感じ取りました。
「土の恵みから生まれたハーブを使った医学の原点に、製薬会社が解釈を変えてアプローチする。それで人を健康にできたら面白いんじゃないか」。

前田さんはそう語ります。そして、富山の自然の中にアロマオイルの工房をつくる計画が立ち上がりました。計画が進む中で、「アロマオイルを活用できるスパがあったらどうだろう」「一緒に富山の恵みを味わえるレストランがあるといい」とアイデアが広がっていきました。それが、現在のヘルジアン・ウッドへと発展していったのです。

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