この〈村〉の美しさのベース

ヘルジアン・ウッドの建物は、葉脈のように伸びるウッドデッキでつながっています。そこには、「地球そのものを潰さないようにしたい」という考えがあります。アスファルトを極力使わずにデザインされているのも、この思想に基づいているためです。

あたりを見渡せば、ラベンダーをはじめとする約50種類のハーブ畑、そして水田。この畑と田んぼが、敷地の8割を占めています。

収穫されたハーブやお米は、それぞれの施設で大切に使われます。The Gardenこそ、ヘルジアン・ウッドの美しさを支えるベース。近寄ってハーブを1本1本じっくり見たり、全体が風に揺れるのを眺めたり……ゆったりと時間を過ごすうちに、あなたの心も土台から整っていくでしょう。

ヘルジアン・ウッドをつくる場所を選ぶ時、最低条件が3つあったといいます。ひとつ目は、立山連峰がパノラマで見えること。ふたつ目は、富山湾が眼下に見えること。最後が、鉄柱や電信柱が少なく、広大な田園が広がっていること。

この条件で厳しく見ていくと、200以上あった候補地はわずか4つに絞られました。その中で、近くに公園があって休日には子どもたちが遊ぶ明るい声が聞こえてくること、海外移住者がまだいなかった立山町に、ヘルジアンウッドで誘致できたら面白いんじゃないか? という考えから、この場所を選んだそうです。

そうして、広大な水田に〈村〉が作られていきます。水田の一部はハーブ畑へと作り替えられましたが、ハーブは水はけの良い土地でなければうまく育ちません。水田とは真逆の土地づくりは、なかなか大変だったようです。

そんな苦労を乗り越えて作られたハーブ園と、もともとこの土地にあった水田を、ヘルジアンウッドの人々はとても大切にしています。農作業のスタッフに任せるだけではなく、前田さんや他の施設で働くスタッフも、草刈りや収穫をするそうです。

前田さんはハーブ畑の草刈りを「フィットネスであり、アート」だと言います。たしかに体を動かすという意味ではフィットネスだ。しかし、アートとは?

「草刈りってただ単に雑草をなくすだけじゃなくて、少し残っている方が美しいと思ったらあえて全部は刈らないようにしたり、道をつくるように刈って地上絵を描いたりすることもできるんですよ」
たくましい雑草も、地球の一部。そう思うと、どんなハーブ畑の姿も美しく見えてくるのではないでしょうか。

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